KDDI(au)とソフトバンク・モバイルは22日、夏商戦向けの携帯電話を発表した。両社とも利用者重視の姿勢を前面に出し、サービス重視から、自分らしさを実現する「デザイン」や「ワンセグ」という共通点を打ち出した。これに対し、一足先に夏モデルを発表したNTTドコモはサービス重視で、ワンセグも1機種のみと路線の違いが出た。夏商戦を制するのは、昨秋の番号ポータビリティー(番号継続制度)導入後、勢いづくau、ソフトバンクか、それとも「反撃」を宣言したドコモか。
 |
auが投入した防滴仕様の新端末。入浴中でもワンセグ放送を楽しむことができる=22日午後、東京都千代田区のホテルニューオータニ(撮影・瀧誠四郎) |
自分好みに
「これまで新機能やサービスでわくわく感を提供してきたが、今回からはライフスタイルを支援、創造する存在になる」。KDDIの高橋誠執行役員は、新機種の基本概念をこう説明した。
14機種中7機種がワンセグ搭載。防滴仕様で入浴中にも使えるモデルやデザイン重視の薄型、高機能追求型と、使い方、利用場面にこだわった。
「ウォークマン携帯」のように「専用機器に電話がついた」と好評を博した機種では、カシオのデジタルカメラと融合した「エクシリム・ケータイ」を追加投入。au以外のブランドで幅広い利用者にアピールする作戦で、今回はこの手法をさらに広げ、42種類のファッションブランドとも連携させた。
ソフトバンクも「スタイル」をキャッチコピーに、ワンセグ3機種を含む12機種を投入。孫正義社長は「ライフスタイルに最も合ったスタイルをユーザー1人1人が決める」と、au同様に利用者重視を訴えた。
その典型が、外装パネルやイルミネーションの点滅パターンなどを2億4000万通りも組み合わせられる機種で、自分だけの携帯を簡単に作ることができる。人気キャラクターの「ハローキティ」と「スヌーピー」の外装も用意。デザイン面で自分スタイルを追求できるモデルをそろえた。
主流も変化?
カメラ、音楽プレーヤーなど当初は「不要」といわれた機能だが、ワンセグもそのひとつ。使い方もビジネスモデルも確立していないためで、数千円の端末コストアップに見合うかどうか、懐疑的な見方は根強い。
しかし、auの調査では23%がワンセグを購入の決め手と回答し、デザインの21%を上回った。このため、au、ソフトバンクはワンセグに力を入れたが、ドコモは1機種のみ。「需要が読み切れず、端末コストも高くなる」(ドコモ)ことが理由だが、「流れとしてはワンセグ搭載が増えていくのかな…」と、その判断は揺れている。
需要予測には端末価格も影響しそうだ。ドコモの「904i」シリーズは新規加入で3万円台。これに対し、auのワンセグは1万円台後半と価格競争力がある。
大作りになりやすいワンセグ機種の欠点も、孫社長が「ワンセグでは一番格好いいケータイ」と紹介した「FULLFACE(フルフェイス)913SH」は、液晶画面側に操作ボタンがないスタイリッシュなデザインを採用し、課題を解決しつつある。
既存機種を含めたワンセグはau21機種、ソフトバンク7機種、ドコモ6機種。商戦への影響が見物だ。