産経Webへ戻る
ENAKってどういう意味? | お知らせ | 新聞バックナンバー購入 | 問い合わせ | リンク・著作権 | MOTO | 産経Web
京都・南座
3兄弟が結集 能と歌舞伎の“融合”「三響會」 
  大阪夕刊 by 亀岡典子
長男は能楽大鼓方の亀井広忠、二男と三男は歌舞伎長唄囃子方の田中傳左衛門、田中傳次郎。伝統芸能界の気鋭の3兄弟が結集して、27、28の両日、京都・南座で能と歌舞伎の公演「三響會(さんきょうかい)」を開く。「両方の音楽の良さを融合させて、僕たちだからこそ実現できる新しい世界を創り上げたい」。

「能も歌舞伎も奥が深い。共演することで再確認しました」と話す田中傅左衛門、亀井広忠、田中傅左次郎(左から)
「能も歌舞伎も奥が深い。共演することで再確認しました」と話す田中傅左衛門、亀井広忠、田中傅左次郎(左から)

3兄弟の父は能楽葛野(かどの)流大鼓方の人間国宝、亀井忠雄、母は歌舞伎長唄囃子方の田中佐太郎。能と歌舞伎の名門に生まれ、「母の胎内にいるときから能と歌舞伎の音楽を聴きながら育った」という3人は、厳しい両親のもと幼いころから両方の修業を積んだ。それぞれの道に進路を決めたのは小学生のとき。広忠は父のもとで能の世界に、傳左衛門と傳次郎は母にならって歌舞伎の道に進んだ。

現在はジャンルは異なっていても、ともに伝統芸能の囃子方として幅広く活躍。広忠はこれまで「道成寺」「檜垣」など大曲を次々と披(ひ)らき、新作能や復曲能にも数多く携わっている。

一方、傳左衛門は史上最年少の16歳で坂東玉三郎の「保名」の立鼓(たてつづみ)(一座の中心となる鼓方)に抜擢(ばってき)され、平成16年、田中流家元十三世傳左衛門を襲名。三男の傳次郎は22歳で中村雀右衛門と中村富十郎の「二人椀久」の立鼓をつとめるなど、兄ととともに歌舞伎囃子方の中心メンバーとして活動している。

「三響會」はそんな3人だからこそ実現できたともいえる。「能の囃子も歌舞伎の囃子も、伴奏音楽とみられることが多いが、独立した音楽としてもすぐれています。それぞれの音楽性の素晴らしさを知っていただくとともに、能と歌舞伎の囃子を同じ空間で演奏することで新たな可能性を探りたいと思いました」

平成9年に東京で旗揚げ公演を行ってから会を重ね、今回の第6弾で初めて京都公演が実現した。毎公演、能楽、歌舞伎から花形若手が出演するのも話題で、今回も、片山清司、観世喜正(以上、能楽シテ方)、野村萬斎(狂言)、片岡孝太郎、片岡愛之助(以上、歌舞伎俳優)、藤間勘十郎(日本舞踊)らが華やかに顔を揃える。

眼目は、清司と萬斎がつとめる能と長唄の掛け合い「船弁慶」と、喜正と愛之助が獅子の精にふんし同じ舞台で能と歌舞伎が“融合”する「石橋」。「この2曲は自信作。両方とも能にも歌舞伎にもある演目(『石橋』は歌舞伎では『鏡獅子』)だが、歌舞伎囃子の音楽性の豊かさ緻密(ちみつ)さに、能の重厚さがあわさった三響会版の曲。両方の音楽の魅力を楽しんでいただければ」

ほかに3兄弟による素囃子「道成寺組曲」、萬斎の「屋島」、勘十郎と孝太郎の舞踊「喜撰」。

27日午後5時、28日午後1時と5時の3回公演。問い合わせはチケットホン松竹(電)0570・000・489。

携帯版SUMiRE STYLE スミレモバイル登場




産経Webは、産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
Copyright(C)2007 SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.

ここは記事のページです
携帯で読むSUMiRE STYLE