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吉右衛門「閻魔と政頼」狂言書き下ろし
歌舞伎 幸四郎「妹背山」心にしみる大作 
  東京朝刊 by 生田誠
歌舞伎座(東京・東銀座)の「六月大歌舞伎」(2〜26日)は、松本幸四郎、中村吉右衛門の兄弟が昼夜にわたり奮闘する。昼の部では、幸四郎が「妹背山(いもせやま)」の大判事清澄、吉右衛門が新作「閻魔(えんま)と政頼(せいらい)」で鷹匠政頼を務める。夜の部の「加賀鳶(かがとび)」でも共演する幸四郎、吉右衛門に話を聞いた。

「妹背山婦女庭訓(通称・妹背山)」は、義太夫狂言の大作で、2本の花道を使う「吉野川」の場が有名。吉野川を隔てて対立する大判事(幸四郎)と未亡人定高(さだか)(坂田藤十郎)が宮廷の権力争いに巻き込まれ、それぞれの息子と娘を失う。両花道から二人が声を掛け合うシーンが両家の悲劇を象徴する。

「歌舞伎版『ロミオとジュリエット』ともいわれますが、義太夫が心に沁(し)みて、ジーンとしながら舞台に出る。お客さまを挟んで出て行くときは、本当にゾクゾクします」と幸四郎。

今回は「小松原」の場からで、大判事の息子、久我之助(中村梅玉)と定高の娘、雛鳥(中村魁春)の出会いが描かれ、「花渡し」の場も上演される。「母は『私の好きな歌舞伎』と言っていたし、ぼくは歌舞伎の『隠れた三大名作』のひとつだと思っている。朝一番ですが、発端から出るので(物語が)よくわかると思う」

「閻魔と政頼」は、狂言「政頼」をもとに吉右衛門が舞踊劇として書き下ろした。地獄に落ちた鷹匠の政頼(吉右衛門)は、閻魔大王(中村富十郎)の前で鷹狩りの模様を再現、閻魔の冠を奪い取って現世に立ち戻るという物語だ。

「世知辛い今の世の中もそうですが、閻魔もだまそうとする人間のたくましさ、生き方が描かれている。これなら、みどり(演目)の中に入ると思った」と吉右衛門。

これまでも「藤戸」などの能を歌舞伎に移してきたが、狂言を元にした作品は初めて。「古典を伝承して守っていくことと、新しい今の作品を作ることが歌舞伎の両輪となる」と話す。

また昼の部の「侠客春雨傘」には、市川染五郎の長男、藤間斎(いっき)君の初お目見えがあり、染五郎、幸四郎、吉右衛門のほか、片岡仁左衛門らも出演する。

問い合わせは(電)03・3541・3131。

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