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◎洋風パン食/△おにぎり 知的作業の能率に差
朝食欠食 体への影響をデータで裏付け
  東京朝刊 by 服部素子
朝食の欠食は、低体温や疲労感など体調低下の原因に−。京都市内でこのほど開かれた「第61回日本栄養・食糧学会」で、朝食欠食の影響を検証した実験データが発表され、話題を呼んでいる。大塚製薬佐賀栄養製品研究所の樋口智子研究員らのグループが、成人男性を対象に、朝食と知的作業の効率の関連性などを分析したもので、これまで観念的に言われてきた“朝食の大切さ”を科学的に裏付けるデータとして注目される。


実験は、一般募集した欠食の習慣のない20〜30代のビジネスマン20人を対象に実施。朝食として洋風パン食(食パン、ゆで卵、ハム、サラダ、ヨーグルト=387キロカロリー)▽市販の栄養調整食品(400キロカロリー)▽おにぎり(のり付きで具なし=375キロカロリー)▽朝食抜き(無摂取・水のみ)という4つのタイプの食事を7日に1度の間隔(計4週間)で無作為に順番に選んで食べてもらい、各実験日の各人の測定値をクロスオーバーさせる方式で分析した。

欠食習慣のない人に限ったのは、朝食を抜くことによる体調への影響が、欠食習慣のある人より顕著に現れるであろうとの予測から。

「食育という考え方の普及につれ、朝食欠食と子供や若者の低体温などの関係を懸念する声が出ていますが、ビジネスマンにもその影響があるのでは、というのが実験の出発点でした」と樋口さん。

実験条件をそろえるために、被験者は前日から同じ施設に宿泊し、夕食も同じものを摂取。睡眠時間のコントロールも行い、実験当日は午前6時起床、8時にそれぞれが選んだ朝食を取った。正午まで4時間にわたって、原則30分ごとに舌下温度の測定、VAS法による疲労感などの検査、暗算計算作業と採血を実施。血液パラメータとしては血糖値、インスリン値、中性脂肪値、総アミノ酸値を測定した。

その結果、洋風パン食の摂取では、朝食抜きに比べて体温が有意に上昇し、空腹感・疲労感は低く、作業への集中度も高かった。また、市販の栄養調整食品でも、洋風パン食摂取時とほぼ同様の効果を示した。

一方、おにぎりの摂取では、朝食抜きに比べて血糖値は高く維持されたものの、体温の上昇や疲労感、作業の集中度、暗算作業能率の変動に大きな改善は認められなかった。

樋口さんは「朝食のタイプで、作業の集中度にこれほどの差が出るとは予想していませんでした。朝食の有用性として、これまで血糖値の重要性が言われていましたが、今回の実験ではおにぎりは血糖値は維持されるものの、疲労感、集中度といった面の改善は見られませんでした。朝食には、脂肪やタンパク質も含むバランスの取れたものを取る必要があることが改めて示唆されたと思います」と話す。また、この結果をもとに、朝食の重要性をすべての世代に発信していきたいとしている。

欠食率「1人暮らし20代」半数ちかく
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、朝食の欠食率は平成11年以降、全体的に男女とも増加している。特に20代で最も高く、17年では男性で33・1%、女性で23・5%が「朝食を食べていない」と回答。1人世帯でみると、20代の欠食率が最も高く49・4%、次いで30代で41・1%。

また、朝食の欠食が始まったのは、男女とも「小学生ごろから」という回答が増加している。子供が朝食を誰と一緒に食べるかについての項目でも「子供だけで食べる」の比率が増加、小学生でも40%を超えている。

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