穏やかに綴る人生の機微
新アルバム「Denim」竹内まりやに聞く
東京朝刊 by 安田幸弘
シンガー・ソングライターの竹内まりやが、6年ぶりの新アルバム「Denim」を発表した。ドラマ「役者魂!」の挿入歌だった「スロー・ラヴ」など12曲を収録。今も変わらない温かみのある歌声で、人生の機微や大人の恋の陰影をじっくり描き出した。()
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シンガー・ソングライターの竹内まりや(撮影・飯田英男) |
色あせて味わいが深まる「デニム」を、人の歩みに重ね合わせてタイトルをつけた。「穴があいたり、ほつれたり、いろんなことがあるんでしょうけど、だから素敵っていう部分もある。年齢を重ねることで出る風合いですよね」
そんなアルバムを象徴する曲は、テレビCMでも流れて話題の「人生の扉」。「51歳になった昨年春に桜を見て、ああ、あと何回桜を見るのかなあ…とふと思ったんですね。同時に40代のときにはこんなこと考えなかったぞと。そう思っている自分を歌にしてもいいかなあと思って」作曲した。
穏やかに、やさしく、人生観を綴(つづ)った詞は幅広い年齢層から反響を得た。オリコンで初登場1位を獲得。30代と70代の知り合いからは、「自分の年代に重ね合わせて聴くことができて励まされた」と直接連絡をもらったという。「それがすごくうれしかった」
このほかアルバムには、昭和63年に薬師丸ひろ子に書いた曲で、以前からセルフカバーの要望の強かった「終楽章」など人気曲を多数収めた。曲調はさまざまだが、どんな楽曲でも、凛々(りり)しさを失わないのも魅力。歌詞や曲作りでは「平易な言葉を使うこと」を心がけているという。
「だれにとっても等しく分かる言葉で、起承転結があって、なおかつ最終的に少し希望が残るというのが理想の作り方。とても悲しい恋の歌でも最後には少し前向きな気持ちが残る歌にしたいと思っています」
夫の山下達郎のアレンジも聴きどころだ。「達郎のアレンジは10年先に聴いても20年先に聴いても古くささを感じさせない。スタンダードになりえる音づくりを施してくれる。今回もそうだなあと改めて確認するアルバムになりました」
来年でデビュー30年になる。「何かを大変革しようとは思っていません。今までと変わらず、のどが続く限り歌っていたいですね」
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