ENAK　年賀状大攻勢　豪華賞品で民営化弾み

海外旅行や液晶テレビ…

年賀状大攻勢　豪華賞品で民営化弾み

2007/11/01　産経新聞　大阪夕刊

来年のお年玉付き年賀はがきが１日、全国一斉に発売された。民営化後で初めての「大型イベント」でもあるだけに、発行する郵便事業会社は例年以上の力の入れようで、賞品や広告宣伝を含めた販売戦略費は前年の２倍の約８０億円。電子メールの普及で年賀状離れが進むなか、あの手この手でＰＲを展開し、売れ行きアップで丸１カ月を迎えた民営化に弾みをつけたい考え。ただ関係者のみなさん、豪華な賞品も結構だが、ミスのない配達が一番のサービスということをお忘れなく。

味なお年玉も

オーストラリア　ケアンズ５日間▽ハイビジョン液晶テレビ▽任天堂Ｗｉｉ。これらはいずれも、今年の年賀状で当せんするお年玉賞品だ。

「民営化してから最初の年にふさわしい、魅力のある賞品を数多くそろえました」と郵便事業会社近畿支社広報担当の西口均さん。言葉の通り、通常賞品の内容が前年より大幅にグレードアップされたほか、「年賀オリジナル賞」（ニンテンドーＤＳ　Ｌｉｔｅ）や地球温暖化防止活動への寄付金つきはがきで当せんする「Ｃ組限定賞」（通勤自転車セットなど）も新たに設けた。

さらに、通常賞品以外の「お年玉」もある。

「全国の郵便局長が選ぶ日本の味・宿・旅」で、年賀はがきを一度に５０枚以上購入し、専用の応募はがきで申し込むと、抽選で８５００人に４７都道府県の食材や旅館・ホテルの宿泊券、旅行が当たる。「旅」なら知床（北海道）、富士箱根（神奈川）、石垣島（沖縄）など豪華な品ぞろえだ。

利便性もＵＰ

「モノで釣る」だけではなく、年賀はがき自体の魅力や利便性の向上もアピールポイントだ。

年賀はがきは従来の無地、インクジェット紙などに加え、ディズニーの人気キャラクターを描いた年賀はがき（５種類）をそろえた。

また、簡単に年賀状を作製できるツールも新たに用意。ＫＤＤＩと連携し、ａｕブランドの携帯電話で作製した年賀状を郵送できるサービスを１１月２９日から始めるほか、パソコンでも、ネット接続会社のソネットエンタテインメントと共同で同様のサービスを行う。

いずれも、自分で年賀はがきを買ったり投函（とうかん）したりする手間が省けるため、若者を中心とした「電子メールユーザー」の取り込みが期待される。

１億枚余増刷

このほか、広告では、俳優の上野樹里さんや大竹しのぶさん、お笑いタレントのおぎやはぎさんら人気タレント８人を起用してテレビＣＭを展開。こうした広告宣伝費や、お年玉賞品などを合わせた販売戦略費は前年の２倍となる約８０億円にのぼるという。

年賀はがきは、電子メールの普及や虚礼廃止の流れ、はがきや手紙離れといった逆風により、年々発行枚数が減少していた。しかし、「民営化後で初」という記念すべき今年は、４年ぶりに発行枚数を増やし、３９億１６５０万枚（対前年比約１億２０００万枚増）を発行。「大規模投資」を背景とした強気の姿勢が垣間見える。

一方で、昨年は約７００万通が元日に配達できなかったなど、不手際や誤配も相次いだ。持ち株会社「日本郵政」の西川善文社長は今回の年賀はがき発売について、「民営化後、第１弾の大きな取り組み」と意気込んでいる。　

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