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伯爵夫人に円熟味
舞台「鹿鳴館」劇団四季・野村玲子に聞く  
2007/11/06 産経新聞  東京朝刊
劇団四季は三島由紀夫原作「鹿鳴館」を再演している。明治を舞台に、政治的陰謀に翻弄(ほんろう)される人間たちの愛憎群像劇。看板女優の野村玲子が伯爵夫人・朝子を好演している。


「三島さんはやはり天才。どうやってこの美しい言葉をつむぎだしてきたのか。ひとつセリフを忘れたり、何かアクシデントがあったりしても、似ている言葉や代わるものが何もない。緊張しますし、とても怖いです」と野村。

昨年1月に初演。四季にとっては初めての三島作品で、約半年間の上演後、名古屋、京都を巡演し、東京公演は今回で3度目となる。

三島は「鹿鳴館」について「セリフの緊張がゆるめば通俗的なメロドラマしか残らない」という言葉を残しており、役者は卓抜した朗誦術を要求される。

「作家の言葉を100%伝えるのが役者の仕事。役を作っていく過程で、演出家からは『文体が完璧なので、その通りにすると役が立ち上がる』と言われましたが、発音、ニュアンスを含め、自然に言葉が出るまで体の中にとり入れる作業が大変でした」

再演のよさは「日常の生活の中で見たり聞いたりしたものが、少しずつ蓄積され、あってなお気づかなかった言葉のニュアンス、心の思いが再発見できる」。その一方で、「回を重ねると、意識しなくても出るようになった言葉がメロディーのようになってしまうことがある。これが危険。手綱を引きながら、ずっと緊張感を失わずにやっています」。

昭和57年、ミュージカル「エビータ」でデビューしてから25年。明瞭(めいりょう)な日本語と凛(りん)としたたたずまい、美しい歌声で、看板女優として観客を魅了し続けている。

「この仕事をしていると1年があっという間。高速道路の3車線の一番右側を走り続けた感じがします。同じ役を長く続けていると、キャラクターを純粋に俯瞰(ふかん)して見ることができる分、役と実年齢が離れていって見た目がきつくなる。これは役者の宿命ですね」

近年は後輩の指導にもあたっている。

「教えることって難しい。責任も伴いますが、自分の役を深く掘り下げるだけではなく、全体を見られるようになり、スタッフサイドの大変さも理解できるようになりました。いまは高速の真ん中の車線を走っている感じですね。そしてたまにはパーキングで休む。左車線だと追い越されますから」

25日まで、東京・浜松町の自由劇場。フリーダイアル0120・489444。

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