抜け毛、フケ、かゆみなど地肌のトラブルに悩む女性が増えている。ストレスや過労が頭皮に影響を与えているためという。最近は地肌に注目した新タイプのシャンプーやリンスが相次いで登場している。毎日のお手入れで美しい髪を保ちたい。(中曽根聖子)
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シャンプーの際に指の腹で頭皮をマッサージ。凝りがほぐれ、血行を促進するという |
過去半年以内に女性が経験した地肌トラブルの第1位は「かゆみ」(50・8%)、2位は「抜け毛」(49・2%)、3位は「汚れ」(26・4%)。P&G(本社・神戸)が8月、全国約500人の女性を対象に行った調査でこんな結果が判明した。しかも、約半数が経験したかゆみと抜け毛は10代から60代まで世代間に差がなく、枝毛やパサつきなどの髪のダメージと並んで、女性に共通の悩みとなっていることがわかった。
調査を実施した同社ビューティリジェントラボ主任研究員の北森敦子さんは「見た目や手触りで判断できる髪に比べ、地肌の状態は自分の目で見ることができず自覚症状も伴いにくい。実際にはもっと多くの女性が地肌トラブルを抱えているのでは」と分析する。
地肌は髪の毛を作り出す毛母細胞が存在する、髪の畑のような場所。そして全身の皮膚の中でも、特に精神的ストレスの影響が出やすい場所でもあるという。
順天堂大学東京江東高齢者医療センター皮膚科准教授の植木理恵さんは「地肌のトラブルが増加しているのは、仕事に家事に忙しい女性が増えたことが背景にある。ストレスや過労、ホルモンバランスの乱れなどが頭皮の皮脂分泌や血流に影響を与え、抜け毛やかゆみなどにつながるケースもある。気づかず放置すれば、炎症が悪化し脱毛の原因にもなるので注意が必要」と説明する。
「美しい髪は健康な地肌があってこそ」−こんな発想から最近、地肌に着目したヘアケア製品が相次いで登場している。
P&Gが9月に発売した「h&s」は、地肌トラブルの原因となる皮膚常在菌のマラセチア菌の繁殖を抑える成分をシャンプーやコンディショナーに配合。地肌の新陳代謝を促すことで、フケやかゆみを抑えるとともに地肌そのものを健康に保つ効果があるという。
コーセーコスメポートも6月から、「サロンスタイルモイストキープスパ」を発売。新開発の成分が、地肌の水分保持力を高め、うるおいを与えるという。またロレアルの「スカルプケアエステシリーズ」は、頭皮殺菌成分を含んだシャンプーやマッサージ用のローションをそろえた。
「毎日のシャンプーの際のマッサージも効果的。指の腹で生え際から頭頂部にかけてマッサージすると、頭のコリがほぐれ、血行が良くなります」と北森さん。
空気が乾燥し、髪のダメージも気になるこれからの季節。植木さんは「健やかな地肌を保つには規則正しい生活と良質な睡眠が第一。異変を感じたらシャンプーの頻度や種類を変えるなど、自分の肌質やコンディションに合わせた適切なケアが大切」と呼びかけている。
地肌のセルフチェックリスト
□抜け毛が気になる(1日平均100本以上の抜け毛がある、短い細い毛の抜け毛が以前より多いなど)
□カユミが気になる(洗髪直後からカユミがある、一日中カユミで頭をかきたくなるなど)
□毎日髪の毛を洗っているのにフケが出る
□触ったときにベタベタする
□つっぱった感じがする
□痛みがある(風で髪がなびいても地肌が痛い、髪の分け目を変えると地肌が痛い)
□においが気になる
□地肌の色が赤い
※2つ以上あてはまる場合は要注意(植木理恵准教授監修)