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仏人作家、マルセル・プルースト小説「失われた時を求めて」
難しすぎて…“不読の名作”が完売御礼?
2007/11/11 産経新聞  東京朝刊
“不読”の名作が完売御礼!? 不朽の名作といわれながら、難解すぎて“読まれない作品”の代表格とされるフランス人作家、マルセル・プルーストの長編小説『失われた時を求めて』。

そのコミック版(白夜書房)が11月20日に発売されるが、初版はすでに予約分だけで完売状態。大胆に要約された文章としゃれたイラスト…。古典新訳ブームに続き、翻訳コミックも古典の新しい読まれ方となるか?(舛田奈津子)  「この作品は“言葉の怪物”。原典を読むのは地図なしで深い森に迷いこむようなもの」。コミック版の日本語訳を手がけた学習院大学フランス語圏文化学科の中条省平教授はこう解説する。

1913年に刊行された同作の特徴は、7編にも及ぶ物語の壮大さと文章の異様な長さ。「眠りにつく男がいかに寝返りをするのか」について30ページも描写されている。

物語は主人公の「私」が、マドレーヌをお茶に浸して食べるシーンを基点に展開する。「フランス社交界といった舞台背景や、過去と現在が交錯する時間感覚などが理解しにくい。日本では研究者や文学愛好者しか読まない。フランスでも読破した人は少ないはず」と中条教授。

こうした状況を一変させたのが、98年にフランスで発売されたコミック版だ。アート・ディレクター、ステファヌ・ウエさんが絵と翻案を手がけ、フランスの漫画出版社・デルクール社から刊行された。

「古典の冒涜(ぼうとく)」と批判される一方、徹底した時代考証によるイラストと原典の世界観を壊さない編集が「新解釈」と評価された。中条教授は「物語を視覚化させたことで、骨格が浮かび上がった。プルーストに近づく最適なガイドブック」と話す。

日本語版は、第1編第1部をオールカラー80ページで出版。初版5000部は予約完売状態で重版を検討中。『カラマーゾフの兄弟』に代表される古典新訳ブームのなか、新たな潮流になる予感も。

白夜書房の担当者、榎本統太さんは「コミックという古典への入り口は今の時代に合っているのでは」と話している。

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