数独、オセロ、人生ゲーム…。一見これら人気ゲームにしか見えない個性的なカレンダーが書店や雑貨店をにぎわしている。バブル崩壊以降、無料でカレンダーを配る企業が減り、消費者の意識も「もらうもの」から「自分でお気に入りを買うもの」へと変わってきた。「遊び」「学び」といった付加価値が消費者の心をとらえるカギといえそうだ。
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家族で楽しめる人生ゲームのカレンダー=タカラトミー本社 |
まさに「山あり谷あり」の1年を体験できるのが、タカラトミーが10月に発売した「毎日エンジョイカレンダー 人生ゲーム2008」だ。来年、発売40周年を迎える人気ゲームをモチーフにしたもので、壁掛けタイプ(希望小売価格2940円)と、卓上タイプ(同1050円)の2種類がある。
いずれも実際にゲームをすることができ、壁掛けタイプは4人まで参加可能。きょうの日付のマスにコマを置き、1日1回ルーレットを回す。出た数によってお金をもらったり支払ったりして、1カ月後に金額が最も多い人が勝つ仕組みだ。
マーケティング担当の浅賀聡さんは「これで毎月子供のお小遣いの増減を決めるのも一興。家族みんなで参加し、コミュニケーションが活発になればうれしい」と話す。物珍しさも手伝って売れ行きは上々。同社は来年以降も「遊べるカレンダー」を商品化していく計画だ。
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”通勤のおとも”にもなる数独やクロスワードの日めくり=丸善日本橋店 |
オセロ約1500点ものカレンダーをそろえる東京・渋谷の渋谷ロフト。「カレンダーは自分で買うもの」という意識が定着したことで売り場はにぎわっている。「ここ数年は前年比2割増のペースで伸びています」と販売促進担当の田中寛子さん。
遊び心があって部屋のインテリアにもなる商品が多いが、なかでも目を引くのがアートプリントジャパン(東京)のオセロカレンダー(2310円)だ。白と黒の駒に1〜31までの数字が書いてあり、月ごとに並べ替えれば、万年カレンダーとして使える。
またブーケをイメージした「フォーゲットミーノット」(2205円)は、日付と曜日を記した花びらを毎日1枚ずつちぎっていくというロマンチックなカレンダー。花びらの裏には花言葉や格言が書いてあるので、占い感覚で楽しめる。
数独丸善日本橋店の売れ筋は、輸入の日めくり。なかでも1800円〜2000円程度の「数独(SUDOKU)」やクロスワードの日めくりは毎日1問ずつパズルに挑戦できる仕組みで人気という。「『数独』を毎朝破って持参し、通勤電車の中で挑戦する人もいるようです。英単語学習なども根強い人気です」と文具グループ長の谷本大介さんは話す。
どうせ買うなら楽しめるものを…そんな消費者のニーズを受け、変わり種カレンダーは今後も増えそうだ。