いま朝食を食べない小中学生やサラリーマンが増えている。朝食の時間があればもっと眠りたいとか、朝はおなかがすかないなど理由はさまざま。しかし、朝ご飯は一日の活動の源。医学博士で管理栄養士の本多京子さんに、誰にでもできる簡単メニューを提案してもらった。
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簡単にバランスよく栄養がとれる「野菜たっぷりのクリームチーズのトースト」 |
「眠っている間に体温が1度ぐらい下がっていますから、起きたときは体も頭も不活発になっています」と本多さん。朝食を食べないで出かけると、なんとなくだるくて頭がすっきりしないのはそのためだ。
「食べることで体温が上がり、脳とからだを目覚めさせます」
国立教育政策研究所の平成16年の調査で、「朝食を必ずとる」小中学生の方が、「全くか、ほとんどとらない」小中学生より、テストの平均得点が1割以上高かったという報告もある。
「朝食を食べないとエンジンがかかりにくく、集中力が高まらない。脳のガソリンとなる糖質、体をあたためるタンパク質、それをうまく燃焼させるビタミン、ミネラルが必要です。バランスのよい朝食を食べて、燃焼しやすい体にすることが大事です」
そこで本多さんのお勧めは手軽なチーズを使ったメニューだ。「チーズは良質なタンパク質とカルシウムが含まれています。効率よく栄養をとるにはチーズがいい」
たとえば「野菜たっぷりのクリームチーズのトースト」。タマネギなど冷蔵庫にある余った野菜と細切りベーコンをいため、塩コショウで味つけしたものとクリームチーズを食パンにのせてトーストする。「野菜のビタミンを組み合わせることでバランスの良いメニューになります。すぐ食べられるのもいい」
しかし朝忙しい人は、もっとシンプルに「クラッカーにチーズを乗せるか挟むかして食べるといい。それに野菜ジュース。火も使わないので忙しい朝にぴったり」。さらに時間のない人は「チーズをカバンに入れていけばいい。少しでも食べれば違います」。
「平成17年国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によると、朝食の欠食率は男女とも20代が最も高く、男性は33・1%、女性23・5%あった。平成11年以降は全体的に増加傾向にある。
農水省では朝ご飯の推進と米を中心とした日本型食生活の普及・啓発を目的に「めざましごはんキャンペーン」を今月1日から実施。おにぎりを食べるシーンなどを流し、和食型の朝食をアピールしている。
本多さんは、和食ならおにぎりに具だくさんのみそ汁を提案する。「米は糖質が豊富。みそは発酵食品で整腸作用もある。野菜をいっぱい入れたみそ汁なら野菜をたくさんとることができます」
「化粧をしなくても朝食は食べる」という本多さん。「とにかく朝食をとることはいいこと。胃に食べ物が入っていくと連動して腸も動きだし、お通じがよくなります」
しかし、朝はおなかがすかないという人は少なくない。「夜遅く食べるから、就寝時間が遅くなり、朝起きられないし、朝食も食べられない」と本多さん。眠る3時間前までに、揚げ物などのない軽い夕食をとるのが理想という。
「朝食は一日の始まりの生活リズムをつくるのに大事なものです。毎朝ご飯を食べることで脳内時計をリセットする。リズムの基本が朝食です」