「端末は高いが毎月の利用料が安い」という新料金体系を導入した、携帯電話各社の冬モデル商戦が、週明けから本格化する。各社は店頭で客にどうすれば安くみせるかに頭を悩ます。販売奨励金を活用して端末を安くする従来型の料金プランに軸足を置くKDDI(au)は、「端末価格0円」を前面に出す。一方、奨励金を活用しないプランを軸とするNTTドコモ、ソフトバンクは「頭金0円」と割賦販売で初期負担の軽減を狙う。端末の魅力に加え、料金にも違いが出た冬商戦を制するのはどこか。
ドコモが26日から投入する905iシリーズの店頭価格は、毎月の基本使用料が安い新プラン「バリューコース」の場合、5万2500円程度で、販売奨励金を活用する従来型プラン「ベーシック」の3万6750円よりも4割強高くなる。
このためドコモは、月額2100円の24回払い、4200円の12回払いの割賦制を導入。購入時の出費を「頭金2100円」程度に抑えた。
値段がこなれてくれば「頭金0円」もあり得るといい、「頭金0円」で契約者数を伸ばすソフトバンクの追い落としにかかる。
一方、12日に新料金体系に移行したauは、従来型の料金プランに軸足を置く。新規契約の場合、「端末0円」「1円」で販売中だ。同じ0円、1円でも、頭金と端末価格では内容に大きな差があるが、店頭にはこれまで通り「0円」「1円」の文字が躍る。
今回の冬商戦で一段と力が入るのはドコモだ。昨秋導入された番号ポータビリティー(持ち運び)制の影響で“独り負け”の状態が続いたが、26日の905i投入の初日には、中村維夫社長が都内の量販店に足を運ぶ。同社によれば「端末発売に合わせたトップPRは初めて」という。
料金プランも「ドコモは高いというイメージがあったが、他社よりも安い」という自信作だ。
同じ端末を2年以上使う契約者や、機種変更の顧客に有利になる。
新料金プラン「バリュー」は905i以降の機種に適用されるが、ドコモは利用者の約8割が「バリュー」を選択し、その多くが割賦を利用すると想定。5万円を超える端末価格を割高と感じさせないため、「月額2100円」「4200円」、「頭金2100円」と1000円単位の価格表示を前面に出す。さらに、混戦に陥った場合は「頭金0円」を打ち出す構えで、失地回復に執念を燃やす。
携帯電話各社は端末とサービスの魅力で勝負してきたが、市場が成熟期を迎え、新規獲得だけはなく、長期利用者の顧客満足度を向上させる料金体系やポイントサービスなどが求められている。今冬商戦はその最初の戦いとなっており、今後のシェア争いの方向性を占うものとなる。
料金体系と端末価格
機種名 新料金体系 従来型料金体系
ドコモ 905iシリーズ 5万2500円 3万6750円
au W53K 3万9900円 1万8900円
A5529T 3万1500円 1万500円
簡単ケータイA1407PT 4万2000円 2万1000円
※905iは26日以降発売。8400円割引キャンペーン適用後の予想価格
※auは都内家電量販店における実売価格