百貨店業界で新年に向けた「福袋」商戦が始まった。中身が楽しみだったこれまでの福袋とは違って、好みの商品を詰め合わせる予約型の福袋が登場。ネットで申し込んだり、正月を待たずに年内に受け取ったりできる福袋も人気を集めるなど正月の風物詩も様変わり。競争が激化している大阪地区の百貨店は福袋商戦を顧客の囲い込みにつなげようと知恵を絞っている。
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百貨店の福袋のお披露目。ネット募集や配送が増えて、東京系百貨店も手強いライバルに |
大丸は福袋のネットでの受け付けを大幅に前倒しした。昨年よりも22日早め、今月14日のスタートとした。「ネットでの販売が大幅に伸びており、少しでも早く顧客を囲い込みたい」(担当者)との意図があるためだ。
ネット用の福袋の点数も61点と、昨年(29点)に比べ拡充。アクセサリーや調理道具、ワインなどに加え、9月に持ち株会社「J・フロントリテイリング」を設立して経営統合した松坂屋との共同企画品として、両百貨店のバイヤーが取りそろえた婦人服の福袋(1万円)も準備した。商品の受け渡しは1月2日以降。
店頭での営業開始は例年通り1月2日からで、シャープの液晶テレビとDVDレコーダーのセット(20万円)のほか、梅田店限定でアルファロメオなどの高級外車をオークション方式で販売する福袋も用意する。
一方、高島屋は今月7日から顧客カード「タカシマヤカード」の会員向けに、ネットによる福袋の先行受け付けを始めた。初めての試みで、タカシマヤカードなどの約215万人の会員が対象。
一般顧客からの事前受け付けも、昨年より1日早い12月5日から18日まで行う。
阪急百貨店では梅田本店など各店舗で近年、コートをメーン商品に衣料品を集めた「招福福袋」を販売している。
コートはサイズやカラーを事前に選べるようになっている。
これまでは初売りの日に店頭で福袋を引き渡していたが、梅田本店は建て替え工事中であることから、前回は同店での購入客には配送にした。新年用の福袋についても配送とする。
近鉄百貨店阿倍野本店でも、平成17年から「ファッション福袋」を販売している。やはり、コートがメーン商品で、サイズや色などを事前に選べる予約制。購入層は若い人から40、50歳代まで幅広い。価格帯は2万円から1万円。予約はネットでは今月15日から受け付けており、店頭では12月6日からの予定。