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気を使わず没頭、
一人カラオケ“ヒトカラ” ストレス発散に人気
  東京朝刊 by 海老沢類
一人でカラオケボックスに足を運ぶ人が増えている。「一人カラオケ」を略して「ヒトカラ」。割引サービスを適用するチェーンや歌の練習をサポートするサイトも登場している。仲間に気を使わずに好きな曲を歌え、ストレスを発散できるのが人気の理由のようだ。

千葉県船橋市内に住む男性会社員(27)は2年前から一人カラオケの常連だ。2、3カ月に1度、数時間カラオケボックスにこもって歌い続けるという。話題曲なら、ハモリや振り付けのチェックも怠らない。

「最近のヒット曲はラップ調で難しいものが多く、披露する前に試運転が必要。一人で来ることに気恥ずかしさもあるが、仲間に気を使わずに好きな曲ばかり歌えるから鬱憤(うっぷん)も晴らせる」

東京都調布市のカラオケ店「シダックス調布国領クラブ」。昨年1年間の総客数に占める一人客の割合は15%で、4年前の2・4倍に増えた。

ある平日の午後3時ごろに店内をのぞいてみると、47部屋のうち10部屋が一人客で埋まっていた。講義の空き時間に来る学生から50代の主婦まで幅広い。同店の小野田茂支配人は「平日昼間の利用が多く、4、5時間歌い続ける人もいる。人を誘って時間を合わせる手間がいらないのも魅力では」と話す。

全国カラオケ事業者協会によると、ピークの平成6年に5890万人だったカラオケ参加人口は、18年には4720万人にまで減った。ミリオンヒットの激減や娯楽の多様化が低迷の主な要因だという。一人客は飲食代こそ見込めないが、リピート率が高いこともあり、大手チェーンもPRに本腰を入れている。

「カラオケの鉄人」を運営する鉄人化計画(東京・目黒)は2月から、ホームページ上に「ヒトカラデビュー計画」とのキャッチコピーを掲げ「一人客歓迎」の姿勢を打ち出す。

また「歌広場」を展開するクリアックス(東京・豊島)は3年前から、都内などの61店舗で、一人で来店した会員は通常料金の20%引きで利用できるようにしている。「月平均の割引サービス利用者は前年比2割強のペースで伸びている」(営業部)という。

一人カラオケを支援するサイトも登場した。セガが9月に開設した携帯電話向けサイト「ヒトカラ」では、端末画面を見ながらフルコーラスのカラオケを楽しめる。最新のJポップを中心に3万曲以上をそろえ、音の大きさや高低、スピード調整も可能。

「自宅で手軽に練習したい、という人向けのサービス」(広報部)で、10、20代を中心に利用者は順調に増えているという。

総合情報サイト、オールアバウトで「一人暮らしの楽しみ方」ガイドを務める河野真希さんは、「焼き肉店やホテルなどにも“お一人様”向けのプランが広がり、一人で行動することへの抵抗感は薄らいできた。部屋に入れば自分だけの世界に没頭できる」と指摘する。

博報堂生活総合研究所の吉川昌孝上席研究員は「携帯電話やメールで常につながっている状態に疲れ、すべてを遮断して一人になれる空間を求める人は増えている。みんなが新しい曲を歌っていたら古い曲は歌いにくいといった機微を気にしては、余計に疲れてしまうということだろう」と分析している。

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