パンツスタイルがバラエティーに富んできた。ふんわりとしたスカートと相性のよい、足先の開いたタイツ「レギンス」や、裾にむかって広がる「バギーパンツ」などがこの秋冬の新しいトレンドとして登場。長く続いた細身のシルエットから、全体的にゆったりしたシルエットに移り、年代を問わず、おしゃれの幅が広がっている。
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ゆったりしたバギーパンツ=東京・西武百貨店池袋本店 |
ボトムスに選択肢
このところ、細身で股上の短いパンツや、最近ではショート丈のパンツが流行していたが、今年は裾の広がった「バギーパンツ」と呼ばれるワイドパンツがトレンドとして浮上している。
バギーパンツは、細身のパンツと比べてまた上が深いタイプが多く、サスペンダーでつるしたりと、ウエストサイズを気にせず、身につけやすい。年代を問わず人気となりそうなアイテムだ。ちなみに「バギー」は「袋のような」「だぶだぶ」を表す英語だ。
東京・池袋の西武百貨店池袋本店によると、バギーパンツの価格帯は2万円台後半から3万円台。「20代の人にはよりワイドなバギー、30代から40代の方にはソフトバギーというやや幅の細いタイプが人気」という。
一方、2年ほど前から流行しはじめたレギンス(スパッツ)も、秋冬モノが好調だ。東京・銀座松屋によると、8月入荷の商品は、色によってはすでに品切れ状態。ここ1、2年のワンピース人気が続いているが、今年はひざ上の短めが主流。「35歳以上はひざを出してはいけない」という不文律から、レギンスを購入する“大人”が急増中という。
同百貨店は「春夏のレギンスは、5分や7分で若い人向けのイメージがありましたが、長めで分厚い、しっかりした質感のレギンスで大人っぽく着こなせます」とアドバイスする。
変わる呼び名
ところで、バギーパンツはかつてのパンタロンに近く、またスパッツがレギンス、アンクルブーツはブーティと呼び方が変わっている。このようにファッションの呼び名が変わるのはなぜなのか。
ファッション誌「流行通信」の粟田真紀子副編集長によると、スパッツは日本独自のカタカナ語で、「レギンス」も「ブーティー」も「バギーパンツ」も、もともと欧米にあるファッション用語だという。
レギンスの場合は、パリやミラノ、ニューヨークのコレクションで登場した際、日本の誌上で紹介するのに「スパッツ」では、いかにも「おばちゃんが家ではく」というイメージが強く、おしゃれ度とはほど遠い。そのため「レギンス」と呼びかえることで、新しいおしゃれアイテムとして定着させたという。
粟田副編集長は「このところ、(装飾品の)『ジュエリー』を、フランス風に『ビジュー』と呼んでいます。新しい表現を使うことで、よりおしゃれなイメージを伝えることができます」と話していた。