大半が土地代、過熱警戒感も
都内「2億ション」が好調
東京朝刊
「億ション」が持てはやされたのは昔のこと。いまや超高級マンションは、価格帯2億円以上の「2億ション」が主流となっている。東京・白金、広尾などの一等地に建つ豪華な設計でセキュリティーも万全と高級感、安心感が売り物だ。だが、バブル末期をほうふつさせる高価格に、懸念も出始めている。
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「クラッシィハウス高輪」。旧高松宮邸の一角(右側)に隣接している=東京都港区(撮影・藤澤志穂子) |
住友商事と三菱地所が分譲する「クラッシィハウス高輪」(東京都港区)は、居間には暖炉、キッチンと洗濯機はドイツ製、各寝室はバスルーム付き。価格帯は2億円前後だ。
最上階の5階で約170平方メートルの物件は3億6800万円もするが、「旧高松宮邸の隣」という高級感が人気で全39戸は完売した。「7割くらいの方が即金で購入した」(住友商事住宅・都市事業部の安藤伸樹部長)という。
こうした超高級マンション購入者は主に、中小企業オーナーや外資系企業幹部、IT(情報技術)で成功した若手経営者など。保有株を売却したりして、現金を調達しているもようだ。
用地は相続税対策などで売りに出された旧財閥や実業家の「お屋敷跡地」が中心で、港区や渋谷区などに多い。
このため、内装より土地代が分譲価格を押し上げ、クラッシィハウス高輪の3億6800万円の物件も2億円以上を土地代が占めるという。地価上昇傾向には一服感があるが、「白金」などのブランドにひかれる購入希望者は多く、これら地域の地価はまだ上昇基調にある。
不動産経済研究所などによれば、昨年の首都圏マンションの供給戸数約7万5000戸のうち、2億円以上の物件は約100戸で全体の0・13%程度を占める「すき間市場」にすぎない。
米国経済の混乱や株式市場の冷え込みで、買い控えを懸念する声もあり、ゴールドマン・サックス証券の穴井宏和アナリストは「超高級マンションを『異常な高値』でも買う人がいるのは事実で、バブル時代の末期を思わせる。だが、金融市場の影響で買い控えも起き始めている」と警鐘を鳴らしている。
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