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比東方 気圧の谷が“誘導役”
台風“来襲率”75% 少数でも接近・上陸多く
  東京朝刊
今年発生した台風は今のところ12個で、近年では相当少ない傾向にあるが、そのうちの75%にあたる9個が日本に接近・上陸しており、過去に例をみない“厄年”となっている。日本への接近はフィリピン沖の太平洋で生じた風や、気圧配置が影響しているとの専門家の指摘があり、今年は10月に入ってからも警戒が必要だという。


今年接近した9個の台風のうち、日本に上陸したのは、7月の観測史上では最強の勢力だった4号、大分県などに記録的雨量をもたらした8月の5号、群馬県南牧村で土砂崩れによる孤立世帯が出た9月の9号の3個。上陸に至らなくても、秋雨前線を活性化させ、東北地方に豪雨をもたらした11号など、猛威をふるった台風もあった。

今年の台風の接近は、「沖縄、奄美地方」が計6個、「北海道、本州、四国、九州」が計4個(重複あり)となっており、特に8、9月に九州や南西諸島に近づいたケースが目立っている。

こうした傾向について、気象庁気象研究所(茨城県つくば市)の中沢哲夫室長は「直近の11、12号を含め、8、9月に接近した台風のいくつかは、フィリピン東の太平洋上で形成された北西方面への気圧の谷(モンスーントラフ)に沿って吹く強風に乗り、日本の南方に導かれたとみられる」と分析する。

モンスーントラフは暑い時期に生じ、1回形成されると1、2カ月間続くとされる。今後数週間、風が吹き続ける可能性があるという。

また、台風の進路に大きく影響する太平洋高気圧の健在ぶりも、日本に接近しやすい状況を作っている。太平洋高気圧は通常、夏以降に勢力を弱めるが、今月の11号、12号接近の際には、強い勢力を保って西側に張り出し、現在もその状態が続く。8月以降、フィリピン東の太平洋上で台風が連続発生した関係で、北側に位置する太平洋高気圧が強化されたためだ。

同庁の高橋俊二予報官は「台風は太平洋高気圧の端に沿って南から西、北と回り込んで進むことが多いため、太平洋高気圧の後退が遅れれば、今後も台風が接近しやすいといえる」と話す。

今年の傾向のもう1つは、発生数の少なさだ。

台風は昭和46年以降、年平均で、約27個発生。発生数には周期性があり、平成7年ごろからは平年数を下回る傾向が続いているが、今年は観測史上最低だった10年の16個を下回る可能性もある。だが過去には10月に複数の台風が上陸した年もあり、「油断は禁物」といえそうだ。

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気象庁は、台風の中心が国内の気象関係施設から300キロ以内に入った場合を「接近」としている。中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合は「上陸」とするが、小さい島や半島を横切るケースは、通過とみて上陸には含めない。
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