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エネルギー、原材料高騰で
加工食品 相次ぐ値上げ 
  東京朝刊 by 村島有紀
加工食品の値上げ発表が相次いでいる。エネルギー価格の上昇に加え、異常気象による穀物や果物の不作、新興国の経済発展による食品原料の高騰に抗しきれなくなったためのようだ。食料品の値上がり傾向は今後も続くとみられる。


味の素は7月、17年ぶりにマヨネーズ製品の出荷価格を10%前後値上げした。江崎グリコは昭和の時代から、一箱約150円で小売りされている「ポッキー」の3品目の容量を10月2日から10%減らす。

また日清食品は来年1月から、カップヌードルのメーカー希望小売価格を155円から170円へ、チキンラーメンを90円から100円などに値上げする。サンヨー食品も袋めん「サッポロ一番」を90円から100円に上げる。

はごろもフーズは、ツナ缶を8月1日にカツオを使った「シーチキンマイルド」シリーズを、6・3〜7・5%値上げしたのに続き、10月からキハダマグロを原料にした「シーチキンL」シリーズなどを10%前後、値上げする。

値上げの主な理由は(1)原油価格の高騰に伴う包材・トレイ価格、工場の動力燃料費などの上昇(2)ガソリン高による運輸コスト上昇(3)トウモロコシを使用するバイオエタノールの需要増加による飼料農産物価格の上昇(4)それにともなう畜肉価格の上昇(5)世界的な水産物人気による魚介類の高騰−などだ。

実際、IMF(国際通貨基金)のエネルギー価格の指数は、2004年の135から2007年には235に上昇。トウモロコシの市場取引価格も最近2年間で2倍、大豆も2倍近く上昇した。

また、政府は輸入した小麦の製粉会社への売り渡し価格を10月から10%引き上げる。農林水産省食糧貿易課によると、2桁の値上げはオイルショック以来。今年4月にも1・3%引き上げたばかりだが、インドや中国、ブラジル、ロシアの新興国での需要増に加え、天候不良の影響でオーストラリアの小麦生産量が前年の4割にとどまったことが大きかったという。

 一方、賃金のアップが新入社員などの一部にとどまるなか、多くの消費者の購買意欲は回復していない。実際、5月に1リットルあたり約20円値上げした果樹飲料は、値上げした分だけ、実質販売量が減少した。

そのため、小売り各社は、値上げによる顧客離れを懸念。大手スーパー「ジャスコ」を運営するイオンのように、100品目を年内値上げしない「価格凍結」宣言を行い、流通改革などによる値上げ抑制を図るとする小売業者もある。

しかし、長期的な食品の値上げは避けられそうになく、小方尚子・日本総研調査部主任研究員は「中国やロシアなどの経済発展を背景とした原材料の値上がりが主因であり、この傾向は今後も続く。消費者にとっては、さまざまなコスト削減策で値上げしていない食品を選ぶことが当面の防衛策だが、従業員の賃金確保という点からは値上げがやむをえない側面もある。消費者も食品に対する価値感覚を転換する時期に入っているのではないか」と話している。

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