仕事をしていると、料理は時間がかかるから面倒、とついついお総菜を買ったり、外食に走ってしまいがち。でも、食の安全が問われているいま、できるだけ自分で料理はしたいところだ。そこで、時間をかけずに手軽に料理ができる便利調理器具を集めてみた。
シャトルシェフ
「料理が手軽にできるから楽になりました。仕事があるので、料理時間を節約できるのがいい」
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時間や光熱費の節約ができる「シャトルシェフ」 |
フリーライターの黒羽紗衣さん(25)が愛用しているのが保温調理器「シャトルシェフ」だ。ステンレス魔法瓶のパイオニア、サーモスが平成元年に発売した。以後、リニューアルを繰り返し、国内の出荷数は累計で300万台を超えた。
「保温調理」という新しい調理法を提案した製品で、高い保温力を持つ真空断熱構造の保温容器と調理鍋の2重構造になっている。調理鍋を短時間加熱した後に鍋ごと保存容器に入れておけば、野菜などがとろ火で煮込んだように柔らかくなり料理が仕上がる。
黒羽さんは1年前、友人から結婚プレゼントとしてもらったという。
「ラタトゥイユ(南仏の野菜煮込み料理)もよく作りますが、10分ほど調理して保存容器に入れておけば、30分でできてしまいます。鍋から離れても焦げ付く心配がないから、ほかの料理や仕事ができますし、ガス代の節約になるのも助かります」
カレーやシチューも簡単。キッチンでの料理に追われ、孤立しがちな主婦にとっては、余った時間を使って家族との会話を楽しむこともできる。さらに電気・ガス代が節約でき、環境にもやさしい。
クック膳
いまや家庭の必需品となった電子レンジ。解凍や温めるだけの機能として使っている家庭が多いだろう。
そのレンジに注目し、料理研究家の千葉真知子さんが考案したのがレンジ専用調理鍋の「クック膳」。10年の歳月をかけて製品化したもので、ネットや通販を中心に売り上げを伸ばしている。レンジでご飯を炊いたり、野菜を蒸したり、魚を煮たりすることができ、時間のかかる料理が手早くできる。
材料、調味料を入れてチンすれば、サバのみそ煮なら約4分、ゴボウとひじきの煮物なら約5分。さらにローストビーフなら4、5分。カレーもできてしまう。
奥土鍋
一方、土鍋というと鍋料理ぐらいしか使わず、半年は眠っている家庭も多いのでは? 土鍋好きで知られる家庭料理研究家、奥薗壽子さんが「一年中使える土鍋」として考えたのが「奥土鍋」だ。
炊飯から煮物、蒸し物まで和洋中の料理がこの土鍋1つあれば済んでしまう。「土鍋の保温力を利用し、火を止めて余熱で調理すれば野菜や肉の甘さが増し、台所も暑くなりません」と奥薗さん。保温に優れ、調理したものをそのまま器として使えるので、独身者にもいたって便利だ。2年前に発売。夏には売れないという土鍋だが、昨年夏だけで3000個以上売れたという。
料理にひと味工夫したい人には料理人の野崎洋光さんが考案した貝印の「だしポット」も。道具はシンプルに有田焼のポットとこし網だけ。急須でお茶をいれる要領で、こし網に適度の大きさに切ったコンブやかつお節を適量入れ、沸騰したお湯を注ぎ1分ほどおけば、500ccのだしが取れる。
カジュアルに抹茶を楽しみたい人には象印マホービンが10日に発売する「シャカシャカ抹茶!」はどうだろう。ステンレスボトルに適量の抹茶と人肌程度にさましたお湯を入れ、シェークするだけ。
ますます進化し、便利になる調理器具。ただし、奥薗さんは「便利な調理器具は、使う人との相性がある。やみくもに増やせば台所が狭くなるだけ。私は1つの道具をいろんな料理に使いこなす智恵のほうが大切だと思います」と話している。