MSN産経ニュース SANSPO.COM ZAKZAK iZA! FBi
ENAKってどういう意味? | お知らせ | 新聞バックナンバー購入 | 問い合わせ | リンク・著作権 | MOTO | MSN産経ニュース
スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」
右近と段治郎 ダブルキャストで挑む!
2008/4/7  産経新聞大阪夕刊 by亀岡典子
市川猿之助が創造したスーパー歌舞伎第1弾「ヤマトタケル」が5月、大阪松竹座で3年ぶりに上演される。神話のヒーロー、ヤマトタケルに市川右近と市川段治郎がダブルキャストで挑み、壮大なスケールと力強いメッセージを併せ持った作品に命を吹き込む。

スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の出演者たち。右から門之助、猿弥、春猿、右近、段治郎、笑三郎、笑也
スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の出演者たち。右から門之助、猿弥、春猿、右近、段治郎、笑三郎、笑也


「ヤマトタケル」の初演は昭和61年。歌舞伎の革命児、猿之助が、哲学者・梅原猛に書き下ろしを依頼、宙乗りや早替わりなど歌舞伎独特の演出を駆使しながら、スペクタクルな演出、スピーディーな展開、豊かな物語性、そして現代に通じるテーマを内包するまったく新しい歌舞伎を作り上げた。以降、スーパー歌舞伎は平成15年の「新・三国志III 完結篇」まで全9作品が生み出され、いずれも熱狂的な反響を呼んだ。

日本がまだ国家として成立する以前の物語。謀反をたくらむ双子の兄を誤ってあやめてしまったヤマトタケルが父・帝の怒りを買い、いまだ大和に従わない熊襲(くまそ)、蝦夷(えぞ)、伊吹山の山神の征伐を命ぜられ、父との葛藤(かっとう)に苦しみ悩みながらも理想を胸に雄々しく立ち向かってゆくさまを描く。

「ヤマトタケルは英雄ではありますが、仲のいい兄を殺したり、最愛の人を犠牲にしたり…と普通の人間と同じように苦悩を抱え、欠落した部分がある。そこがこの作品の深さだと思います」と右近はいう。

初演以来、猿之助が演じ続けてきたヤマトタケルだが、3年前から弟子の右近と段治郎の2人が引き継ぎ、師とは個性の違う人物像を表現するようになった。

「3年前はわれわれだけでやらねばならないという責任感でいっぱいで、役作りも師の表面だけとらえてしまったところがあったように思う。今回は一門全員の3年間の成長と勢いを肌で感じていただけるような舞台にしたい」と段治郎が言えば、右近も「現代を生きているわれわれの気持ちをどう入れていけるか」と表情を引き締めた。

2人は従者タケヒコもダブルキャストでつとめる。ほかに笑也の兄橘(えたちばな)姫とみやず姫、笑三郎の倭(やまと)姫と帝の使者、春猿の弟橘(おとたちばな)姫、猿弥のヤイラム、伊吹山の山神、帝(ダブルキャスト)、門之助の皇后と伊吹山の姥(うば)神、金田龍之介の帝(ダブルキャスト)など。

5月4日から27日まで。問い合わせはチケットホン松竹TEL0570・000・489。()

★ ★ ★

5月の大阪公演に先立ってヤマトタケルゆかりの羽曳野市の白鳥陵に参って白い花をささげた右近と段治郎は、「伝説が語り継がれている土地に来ることで肌で感じるものがあります。それが演じるときに大きなヒントになります」と声をそろえた。
白鳥陵を参拝した市川右近(左)と市川段治郎
スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の出演者たち。右から門之助、猿弥、春猿、右近、段治郎、笑三郎、笑也


この白鳥陵は、ヤマトタケルが死後、白鳥となって舞い降りたといわれる場所で、現在はお堀に囲まれた立派な前方後円墳となっている。

「白鳥陵を拝見して、自分の理念に従って生き抜いたヤマトタケルの思いが胸に迫りました」

携帯版SUMiRE STYLE スミレモバイル登場




産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
Copyright(C)2008 SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.

ここは記事のページです
携帯で読むSUMiRE STYLE