MSN産経ニュース SANSPO.COM ZAKZAK iZA! FBi
ENAKってどういう意味? | お知らせ | 新聞バックナンバー購入 | 問い合わせ | リンク・著作権 | MOTO | MSN産経ニュース
をおいしく食べてヘルシーに
人気上昇 雑穀の専門店
2008/4/21  産経新聞東京朝刊
縄文時代から食べられ、日本人の食生活を支えてきた「雑穀」。コメ、ムギ以外の穀類の総称で、日本ではキビ、アワ、ヒエなどが知られている。これらは栄養価も高く、善玉コレステロールの値を高める効果があるという。また白米に比べて食物繊維も数倍含み、腸内環境を整え、便秘予防に効果的とされている。このため近年、健康食として注目され、家庭での利用が増え、アイデア料理を提供する料理店が人気を呼んでいる。(渋沢和彦)

「雑穀スープ」
「雑穀スープ」


ランチタイムに、東京都新宿区弁天町の住宅地にあるレストラン「つぶつぶカフェ いるふぁ」を訪ねた。雑穀の著書も多く、先ごろ『雑穀グルメ・ダイエット』(サンマーク出版)を出版した食デザイナー、大谷ゆみこさんが経営する店だ。

「雑穀は白米や小麦と比べ、味わいが濃く、食感も多彩。人の体が求める栄養素の宝庫」と、20年以上前から雑穀に注目して料理を実践してきた。「おいしく、楽しく」が店のコンセプトで、自慢は雑穀のオリジナル料理だ。

ヒエを素材にしてまるで白身魚のような食感に仕上げたフライ、高キビをひき肉のような味わいにした「高キビのハンバーグ」など意外性のある料理のほか、砂糖を使わずに甘みを出したスイーツなどがあり、雑穀のイメージを超えたメニューに驚かされる。

店内は女性客がひっきりなしにやってきて大にぎわい。ランチは1000円ほどで、千葉市からやってきた女性会社員(24)は「うわさを聞いてやってきました。驚くほどおいしい。雑穀のイメージが変わりました」と話す。

★ ★ ★

雑穀は第二次大戦ごろまでは農家などで日常的に食べられていたが、経済成長とともに白米が普及し、日本での生産は衰退の一途をたどった。注目され始めたのは10年ほど前からで、“飽食の時代”の健康食として人気を集めている。

「高キビのハンバーグ」
「高キビのハンバーグ」


穀物の製造・販売の大手「はくばく」(山梨県増穂町)では、5年ほど前から雑穀の売り上げが急増しているという。同社の「十六雑穀ごはん」は、16種類の雑穀をといだ米に混ぜて炊飯器で炊くことができる。一昨年春に発売し、翌年の売り上げは2倍に増えた。やはり健康志向で家庭で食べるケースが増えているようだ。「今後も続々と新商品を提供していきたい」と意欲を示す。

日本雑穀協会によると、雑穀の市場は100億円規模となった。「とくに業務用で使用されることが多くなったため、この2、3年は消費量が急速に増えている」という。

現在流通している雑穀は、オーストラリアや中国など海外からの輸入が9割を占める。同協会では「今後も需要増が予想されるので、生産農家の育成支援などを行いながら雑穀市場を育てていきたい」と話す。

★ ★ ★

雑穀は体に良いと分かっていても、料理法を知らないため、なかなか食べる機会がない。しかし、大谷さんは「雑穀料理は簡単。みそやしょうゆでうまみを引き出し、良い塩と油を適度に使えばいい。おいしくないのは、塩や油をあまり使わないからです」と話す。

大谷さんが薦める料理はスープ。タマネギなどの野菜に少しの雑穀を入れて、30分ほど煮込む。味付けは塩だけというシンプルな料理だが、雑穀のおいしさが溶け出し、奥深い味に。「雑穀はスープとの相性が良く、簡単に食べることができます」

大谷さんは雑穀の栽培を広めるため、平成7年から「ライフシードキャンペーン」という雑穀の種の配布運動を続けている。「ベランダの鉢でもいい。雑穀は生命力が強いので簡単に育ちます」という。

「みんながもっと注目して食べていけば、食糧問題の解決につながります」。体にいい雑穀。食べるばかりでなく、一度育ててみますか。

携帯版SUMiRE STYLE スミレモバイル登場




産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
Copyright(C)2008 SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.

ここは記事のページです
携帯で読むSUMiRE STYLE