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おけいこの残り枝など回収
池坊が「もったいないプロジェクト」でエコ活動
2008/4/24  産経新聞東京朝刊 by 武部由香里
華道家元池坊の若手でつくる青年部(代表・池坊美佳さん)が、リサイクル活動を目的とした「池坊もったいないプロジェクト」を発足させた。これまで当たり前のように捨てていた「おけいこの残り枝」と「使用済み割りばし」を回収し、作品の材料として有効活用する。美佳さんは「小さな『エコ活動』ですが、長く続けていきたい」と話し、身近な取り組みを展開している。

けいこで出た残りの小枝を有効活用したオブジェの前に立つ池坊美佳さん。「地球環境問題を考えるきっかけになれば」=大阪市中央区の高島屋大阪店(
けいこで出た残りの小枝を有効活用したオブジェの前に立つ池坊美佳さん。「地球環境問題を考えるきっかけになれば」=大阪市中央区の高島屋大阪店


プロジェクト発足のきっかけは、美佳さんが海外へ行った際、「生け花の作品を作るときに切り落とした枝をどうするのか」とよく問いかけられたこと。「美しく生けるために枝を切っています。自然に反しているわけではありません」と答えてきたが、省みると、生け花教室では大量の小枝をごみ袋に入れて捨てている。

美しい芸術としての生け花作品と捨てられる小枝はいずれも、もとは同じ自然の産物。「華道人として、自然からいただいた恩恵に対して感謝の気持ちを表すことはできないか」。そう考え、小枝を作品に使うことを思い立ったという。

ただ、池坊の生け花は伝統文化として代々受け継がれてきた格式もある。内部からは「本来使わない小枝や割りばしなどを使うのはいかがなものだろうか」との意見も出た。それでも「池坊生け花は、草木の命を見つめ、花と人が出合い、人が花に心を寄せ思いを託すもの。芸術作品としてのお花も、残り枝もどちらも大事にしたい」という美佳さんの強い信念が実を結び、プロジェクトは昨年春、青年部の事業としてスタートした。

夏には、池坊の全国支部に呼びかけ、けいこの際に残った小枝と使用済みの割りばしの回収を開始。約12万本の割りばしと段ボール40箱分の小枝が集まり、11月に京都市で、それらを針金でつないだ巨大なオブジェを公開制作し、展示後にはまた分解して、小枝と割りばしは堆肥(たいひ)として利用、針金は金属リサイクルに回した。

同様の作品は今年3月下旬にも大阪市内で制作し、4月上旬まで高島屋大阪店など市内3カ所で展示した。5月には東京でプロジェクトを計画しており、現在、小枝と割りばしの回収を進めている。

美佳さんは「活動に一緒に参加してくれる方も、展示作品を見てくれる方も、ふと立ち止まって、地球環境問題について考えるきっかけになってくれればうれしい。とても小さな草の根の活動ですが、継続させることが大切だと考えています」と話している。

東京でのプロジェクトは、5月1〜3日に東京ミッドタウン・ホールでオブジェを共同制作し、4〜10日に東京ミッドタウン、7〜12日に銀座松坂屋でそれぞれ展示する。共同制作や材料の回収では、一般参加も歓迎している。問い合わせは華道家元池坊総務所青年部事務局(電)075・221・2686。

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