「ビルマの竪琴」「犬神家の一族」

映画監督　市川崑氏死去　９２歳　

2008/2/14　産経新聞 　東京朝刊

「ビルマの竪琴」「東京オリンピック」などで知られ、戦後の日本映画界をリードしてきた映画監督で文化功労者の市川崑（いちかわ・こん＝本名・儀一＝ぎいち）さんが１３日午前１時５５分、肺炎のため東京都内の病院で死去した。９２歳。葬儀・告別式は近親者のみで行う。後日、お別れの会を開く予定。喪主は長男、建美（たつみ）氏。

大正４年、三重県生まれ。昭和２３年、「花ひらく」で監督デビュー。「三百六十五夜」などのメロドラマから「プーサン」などの風刺コメディー、「細雪」などの文芸作品と、幅広いジャンルをこなした。

３１年の「ビルマの竪琴」では水島上等兵の生き方が人々の共感を呼び、６０年には再映画化もされた。初のドキュメンタリー「東京オリンピック」（４０年）では１５０台のカメラで選手の表情や動作を追い、五輪を人間賛歌ととらえて「記録か芸術か」の論争も巻き起こした。映画は空前の大ヒットとなった。

横溝正史原作の「犬神家の一族」（５１年）では金田一耕助ブームを起こした。９０歳を迎えた平成１８年には再度「犬神家の一族」を監督、健在ぶりをアピールしたが、これが最後の作品となった。

【ベルリン＝共同】ベルリン国際映画祭に参加している山田洋次監督は１３日、市川崑監督の死去について「とても大きなショックで、考えがまとまりません」と言葉を詰まらせた。出品作「母べえ」の記者会見で質問に答えた。

関係者によると、一緒に映画祭に参加した吉永小百合さんも、「細雪」など多くの市川作品に出演しており、突然の悲報に衝撃を受けていたという。

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