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教育現場で導入、知名度向上図る
ドイツ生まれの新スポーツ スピードミントン脚光
2008/2/24 産経新聞  東京朝刊 by 田辺裕晶
5年前にドイツで誕生したニュースポーツ「スピードミントン」が注目されている。バドミントンのシャトルコックのような「スピーダー」を打ち合うゲームで、ネットがなく、名前の通りスピードがあるのが特徴だ。すでに欧米やアジア圏など約20カ国へ広がっている。日本では地域スポーツを振興するNPO法人「ピボットフット」が普及を進めており、教育現場でも導入が始まっている。

生徒たちにサーブの指導をする今田恵美さん(中央)=東京都大田区の都立蒲田高校
生徒たちにサーブの指導をする今田恵美さん(中央)=東京都大田区の都立蒲田高校

今年度から週1回の体験授業にスピードミントンを取り入れている都立蒲田高校。和やかにプレーする24人の生徒たちに混じって、記者も挑戦してみた。

プラスチック製のコーンで囲まれた5・5メートル四方の自陣から、12・8メートル離れた同じ広さの相手陣地へ向かって、スピーダーを打つ。ラケットはテニス用よりやや小さめの全長58センチ。スピーダーはヘッドにゴルフボールのような凹凸加工があり、9グラムとシャトルコックの倍近い重さだ。

相手陣地に届かないとアウトなので、自然とラケットを力一杯振ることになる。体が汗ばんできた。スピーダーは想像以上の速さで、スマッシュは水平に近いイメージで飛んでくる。運動不足の足がもつれる。それでも必死に追いかけていると…ゴツン! 鈍い音とともに顔面へ命中した。痛さも想像以上だった。

「ネットがないから、相手の足元へ速く低い弾道で打つのがポイントですね」と、生徒たちを指導するピボットフットの今田恵美さんは話す。

ピボットフットの桑田健秀理事長によると、スピードミントンは5年前、ドイツで「外でもできるスカッシュ」として発明された。米国の企業がテニスのマリア・シャラポワ選手を広告塔に起用して道具を販売したこともあり欧米で競技人口が増えている。

日本に入ってきたのは平成17年。現在、ピボットフットがイベントを開き、知名度の向上を図っている。

欧州では国際大会も開かれているが、まだ世界統一ルールはない。日本のローカルルールも、細かい部分は選手たちの様子を見ながら固めている状態だという。半面、欧米では路上パフォーマンスや、蛍光素材を使ったスピーダーで打ち合うなどクラブイベントにも取り入れられており、間口は広そうだ。

「来年度中には協会を立ち上げ、教室やイベントを継続的に開く予定です」と桑田理事長。「将来は日本選手権や、すでに普及が進んでいる韓国、タイなどとともにアジア選手権も開きたい」と夢を広げている。

スピードミントンの魅力について、桑田理事長は「ネットが必要ないので、平らな場所があればすぐにできる。家の周囲だけでなく、公園や砂浜などレジャーで楽しむにも最適です」と話す。

また日本女子体育大の畑攻教授は「海辺や芝生の上がよく似合う、解放感があるスポーツです。道端でキャッチボールをするように、日常的なスポーツになる可能性を秘めています」。

同大では17年に授業で取り上げたところ、100人ほどの学生が「道具がほしい」と言ってきて畑教授を驚かせた。職員が休日に息子と楽しんだり、卒業後に教職に就いた学生が授業で使いたいと訪ねてくることもあるという。

「早急に統一ルールをつくり、教育現場などにもアピールしていけば、フォーマルなスポーツとして普及するかもしれません」と畑教授は話していた。

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