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ハンディカムの視点
話題の「クローバーフィールド」想像絶する撮影とは…
2008/4/10    産経新聞東京朝刊 by 戸津井康之
話題の米映画「クローバーフィールド」が封切られた。製作手法は斬新かつ挑戦的。全編が「ニューヨークの街を逃げ惑う若者が撮ったハンディカム(手持ちのムービーカメラ)の視点」という異色作だ。プロデューサー、J・J・エイブラムス、監督のマット・リーヴス、主演のマイケル・スタール=デヴィッドらは「想像を絶する撮影だった」と口をそろえる。一体どんな現場だったのか?

ハンディカムの映像を駆使した「クローバーフィールド」
ハンディカムの映像を駆使した「クローバーフィールド」


エイブラムスはテレビドラマのヒット作「LOST」などのプロデューサーとして知られる。その才能に俳優トム・クルーズがほれ込み「M‥i(ミッション・インポッシブル)‥III」の監督に抜擢(ばってき)した。

「実は2年前、『M‥i‥III』の日本公開のキャンペーンで来日したときに、今回の企画が浮かんだ。この映画は日本へのラブレターです」と彼は明かす。主人公ロブの赴任先が東京という設定は偶然ではない。

「ハンディカムの視点」は以前から構想していた。「私たちは世界中の事故や事件現場の映像をネットで簡単に見られる環境を手に入れた。この時代に作り手という第三者の視点を排除した当事者の視点からの作品があってもいい。先を越されないうちに撮りたかった」

エイブラムスとは10代のころからのつきあいという監督のマット・リーヴスは「すべて未知の世界でした。カメラワークはもちろん、私にとって初の経験となるSFX撮影、照明、美術…。何もかもです。『こんな撮影が本当に可能なのだろうか?』と常に悩んでいましたよ」と話す。

「俳優陣に求めた演技は芝居ではなく“反応”でした。この状況になったら、人はどんな表情、リアクションをするのか。俳優、スタッフとともに試行錯誤の連続でした」。一場面で80テイクの撮り直しもあったという。

キャスト陣容はあえてスターを配役せず、若手俳優をオーディションで選んだ。「これが本当にハリウッド大作の現場なの?と驚きの連続でした」と主演ロブ役のマイケルは振り返る。「劇中のロブの回想シーンは実は僕がハンディカムを持って地下鉄に乗り込み撮影した映像なんですからね」。ビルを駆け上る場面など危険な撮影にも挑んだため、「けがは絶えなかった」という。

共演した女優のリジー・キャプランは「通常は監督の『スタート、カット』の合図でワンカットごとに撮影しますが、今回はハンディカムを回しっ放し。休憩無しで、体力勝負の現場でした」と説明する。

前後左右に揺れるハンディカムの画面に、見る者は不安定さを感じるかもしれないが、それも緻密(ちみつ)な計算のうち。観客は知らず知らずにロブたちと同じ視点で恐怖を味わうことになる…。

ストーリー
米ニューヨークにある高層ビルの一室。ビジネスマンのロブは東京への赴任が決まり、仲間が開く記念パーティーに参加していた。その時、突然、外で爆音がとどろき、ビルが揺れる。外へ逃げ出すと、すでに街中が破壊され、自由の女神の頭が転がっていた…。

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