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「チェスト!」
南国を舞台に家族の絆描く
2008/4/11    産経新聞東京朝刊 by 戸津井康之
鹿児島県の小学校の伝統行事で、桜島と対岸の約4キロを泳ぎわたる遠泳大会がある。映画「チェスト!」(雑賀俊郎監督)は、この大会に挑む小学生とその成長を見守る家族をテーマに描く群像劇。主人公、隼人(高橋賢人)の父、隆夫を演じたのは高嶋政宏。母の道子役はアナウンサーで映画初出演の大坪千夏が演じた。「子供の成長と同時に大人の成長物語でもある」と高嶋は話し、大坪は「人として忘れてしまった大切なものを思い出させてくれるドラマです」と自信を込める。夫婦を演じた2人に聞いた。

「鹿児島のロケで学ぶことは多かった」と話す高嶋政宏(左)と大坪千夏
「鹿児島のロケで学ぶことは多かった」と話す高嶋政宏(左)と大坪千夏


《泳ぎの苦手な小学6年、吉川隼人(高橋)は、毎年夏に開かれる「錦江湾横断遠泳大会」がいやで、仮病などを理由に毎年、参加しなかった。が、漁師の父(高嶋)と母(大坪)や学校の先生、友人らの励ましで、「小学生最後の今年こそは参加しよう」と決意する…》

「今度の役は鹿児島県の漁師の役だと聞いて、撮影1カ月前にプライベートで現地に乗り込みました」と高嶋。地元の漁師と一緒に釣りをし、毎晩、酒を交わし、仲良くなりながら漁師の役作りに懸命に取り組んだという。

スイス在住の大坪は初の映画出演を当初ためらっていたという。が、脚本の魅力にひかれて引き受けることに。「私が鹿児島に着いたときは、高嶋さんはすでに真っ黒に日焼けし“地元の漁師さん”に成りきっていた」と笑う。

地元の釣具屋を借りて“吉川家”に変え、撮影は進められた。「釣具屋の家族の方や近所の人たちが鹿児島弁の方言指導をしてくれたり、料理を差し入れしてくれたり。いろいろ世話を焼いてくれるんです」と高嶋。「私のセリフに『その方言はちょっと変だな』とダメ出しまでしてくれました」と大坪は苦笑する。

「どんな現場でも、いつも同じなのですが…」と前置きした上で高嶋は「今回も撮影初日の前日は緊張して一睡もできませんでした」と言う。

「大人が一生懸命がんばる。その背中から子供たちは生き方を学ぶ。無気力な今の子供たちの姿は結局は大人の姿なのかもしれないですね」

「だからこそ」と2人は期待を込める。「家族の在り方を真正面からとらえました。素直に生きることの素晴らしさが伝われば。鹿児島の青い海と空。心洗われる風景も堪能してほしい」

東京・新宿バルト9ほか全国で19日から公開。

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