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「少林少女」
西冬彦プロデューサー 柴咲コウと二人三脚の撮影
2008/4/25    産経新聞東京朝刊 by 戸津井康之
中国に渡って少林寺拳法を究めた修行者が、少林拳を広めるために日本に帰国する。その達人は少女だった−。26日公開の映画「少林少女」(本広克行監督)でヒロインを演じた柴咲コウは武術経験が全くなかったが、1年間のトレーニングを積んで撮影に臨んだ。「正直1年では無理と思ったが、上達した彼女の技は期待以上でした」。武術指導を担当した西冬彦プロデューサーは、想像を絶する厳しい道のりを振り返る。

柴咲にアクションの演技指導をする西プロデューサー(右)。出演者として実際に柴咲の顔面をけっている
柴咲にアクションの演技指導をする西プロデューサー(右)。出演者として実際に柴咲の顔面をけっている


小さいころから空手を始め、武術映画のファンでもあった西が「日本ならではの本格武術映画を作れないか」との思いを強くしたのは6年前、日本でもヒットした香港アクション映画「少林サッカー」(チャウ・シンチー監督)を配給会社の社員として買い付けてから。3年前に退職してフリーのプロデューサーになると、チャウ・シンチーにも協力を仰ぎ、“日本発”の武術アクション大作「少林少女」の製作に乗り出した。

「問題は誰なら主役を演じられるのか。女性武術家に演技を覚えてもらうか、女優に武術を習得してもらうか。大作を目指すなら有名女優しかいないだろう、という結論に至った」

そこで候補に挙がったのが柴咲だった。西が考えていたのはブルース・リーやジャッキー・チェンが演じたような本格武術アクション。中途半端なアクション映画になるならあきらめようと考えていた。「訓練に必要な期間は?」と聞かれた西は「最低で1年」と答える。売れっ子で忙しい柴咲は断ってくるだろうと思った。しかし彼女の答えは「やります」だった。

二人三脚の特訓が始まった。「付け焼き刃で香港のアクションスターにかなうはずはないが、勝負できる唯一のポイントは彼女がプロの女優であったこと」。西は柴咲に“武術の達人”を演じ切ってもらうための特別メニューを作った。基本技や形(かた)の習得以外にスパーリング(実践練習)にも挑ませるハードスケジュールだったが、彼女は最後まで音を上げなかった。

日本のアクション映画で俳優同士が実際に打撃技を体に当て合うことはほとんどない。が、西はこれに徹底してこだわり、柴咲は撮影中、スタントなしで打撃技を受け続けた。クライマックスの戦いで柴咲が顔面で西のけりを受けるシーンは衝撃的。彼女は現場スタッフの制止を振り切り、自ら望んだ。

1年間の集大成が凝縮された“本気のアクション”がスクリーンに展開する。

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