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主人公ダニエルの濃厚なキャラ見どころ
映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」金の亡者を痛烈批判
2008/2/3 産経新聞    東京朝刊 by 岡田敏一
「お金もうけ、悪いことですか?」。村上ファンドの前代表、村上世彰氏が記者会見で開き直って言い放った有名な一言だ。今年度のアカデミー賞有力作のハリウッド映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(監督・脚本=ポール・トーマス・アンダーソン)をみて、彼を思い出した。

気鋭の若手監督、ポール・トーマス・アンダーソンの新作「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
気鋭の若手監督、ポール・トーマス・アンダーソンの新作「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」

舞台は20世紀初頭の荒れ果てた米カリフォルニア州。ここで鉱山夫から石油王に成り上がる男の生きざまを描く壮大な物語…。といってもアメリカン・ドリーム系感動作ではない。煮ても焼いても食えない主人公ダニエル(ダニエル・デイ=ルイス)の濃厚なキャラクターが炸裂(さくれつ)し続ける。

石油が出ると聞けばその土地に行き、うそ八百を並べ立てて土地を二束三文で買いたたく。地元民なんて知ったこっちゃない。男手ひとつで育てた幼い息子が採掘事故で耳が不自由になったって金の方が大事だ。彼が結婚し独立したいといえば、「お前、俺(おれ)の商売仇(かたき)になってタダで済むと思うなよ!」。

金持ちになっても粗野なままで、屋敷にトンチンカンな高級品を並べる。そんな彼の宿敵は、やり手の若手カリスマ牧師イーライ(ポール・ダノ)。彼のやり口を糾弾し続けるのだが、あろうことか“神”は“金”の亡者にひれ伏してしまう…。

金満社会米国をこれほど執拗(しつよう)、かつ痛烈に皮肉る映画は見たことがない。ホントのワルは、こうした人物をちやほやする輩(やから)では? ゴールデンウイーク公開。

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