産経Webへ戻る SANSPO.COM ZAKZAK iZA! FBi
ENAKってどういう意味? | お知らせ | 新聞バックナンバー購入 | 問い合わせ | リンク・著作権 | MOTO | MSN産経ニュース
戦争をテーマ「正当に評価」
映画「明日への遺言」米映画祭でお披露目 
2008/2/14 産経新聞   東京朝刊 by 戸津井康之
3月1日から全国公開される映画「明日(あした)への遺言」(小泉堯史監督)が、米カリフォルニア州のサンタバーバラ国際映画祭で特別上映された。ゲストとして出席した小泉監督は帰国後、「日米の戦争責任をテーマにしているため、上映前は米国人の反応がどう表れるのか不安でしたが、現地の人たちは正当に評価してくれた。ほっとしました」と感想を語った。

上映後、観客からの質問に答える小泉堯史監督(左)。右端は出演者のフレッド・マックィーン=米カリフォルニア州サンタバーバラ
上映後、観客からの質問に答える小泉堯史監督(左)。右端は出演者のフレッド・マックィーン=米カリフォルニア州サンタバーバラ

「明日への遺言」は、第二次世界大戦中、無差別爆撃を行った米軍搭乗員を処刑した罪でB級戦犯として軍事裁判にかけられた岡田資(たすく)中将(藤田まこと)が主人公。部下を守り、すべての責任を一人で背負う覚悟を決めた岡田中将の法廷闘争を、妻(富司純子)ら家族が見守っていた−というストーリーだ。

初めてサンタバーバラを訪れた小泉監督は「ハリウッドにも近く、映画関係者や演劇人が多く住む文化都市。上映会には多くの映画ファンが詰めかけてくれた」と話す。

上映会は今月2、3日の2回開かれ、岡田中将の弁護士役を務めたロバート・レッサー、検事役のフレッド・マックィーン、裁判長役のリチャード・ニールの3人の米国人俳優も駆けつけた。

計約400人の観客と一緒に映画を観賞した小泉監督は、「隣に座っていた年配の女性が途中から目頭を押さえて涙ぐんでいたのが印象的でした。エンドロールが流れ、その後5分ほど拍手が鳴りやまなかった。さらに握手攻めに合い、『コングラチュレーションズ!』と声をかけてくれる人もいて、感激しました」と興奮気味に振り返った。

映画では、岡田中将が米軍による無差別空爆を国際法違反と主張する。「横浜法廷での彼の主張を知る米国人はほとんどいないと思うが、観客の多くが歴史の事実として受け入れてくれた。岡田中将が敵対する米国人と心を通わせる場面もありますが、私はこの映画祭で、岡田中将と同じように垣根を越えた心の交流を体験することができました」と小泉監督。

また、小泉監督の隣で鑑賞したロバート・レッサーは「米国人が感情を隠さず、表情に出して感動している姿を見ることができ、この映画に出演できた誇りを改めて感じています」とコメントした。

上映後、米国の映画関係者からは「ロサンゼルスやニューヨークなど米国各地で上映してほしい」という声が上がったという。

産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
2007(C)SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.

ここは記事のページです

淀川長治の銀幕旅行