実妹が100人の証言交えて紹介
映画「アニー・リーボヴィッツ−」有名女性写真家の素顔
2008/2/15 産経新聞
東京朝刊 by 岡田敏一
世界のロック界やファッション界でその名を知らぬ者はいない著名な女性写真家の半生を描く米ドキュメンタリー映画「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」(バーバラ・リーボヴィッツ監督)が16日から公開される。知恵と工夫とチャレンジ精神で男性が中心の業界で功成り名を遂げたたくましい姿がすがすがしい。
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女性写真家の半生を追う「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」 |
射殺される数時間前に撮影した全裸のジョン・レノンとヨーコのツーショットや、ワイセツかどうかと論争を呼んだデミ・ムーアの妊娠ヌード…。一大センセーションを巻き起こした彼女の作品を目にしたことがある人は多いはず。
そんな彼女の生い立ちや人柄、写真家としての功績、被写体へのアプローチの方法などを実妹が約100人の証言を交えながら紹介する。
「商業的か否かという質問が一番困る」「壁を壊したい」…。彼女の撮影スタイルはあくまで本能の赴くままだ。しかし、いったん撮影対象を決めると「相手の生活に入り込み、深く相手を理解する」。そして「最高の写真を撮るにはその場の一部になる。空気のような存在ね」。
そういえば以前、ロック界で有名な写真家ノーマン・シーフを取材したときも「強固な信頼関係の構築に加え、被写体と私が互いをさらけ出せる空間」とその奥義を語っていた。
では、彼女のすごさとは? やはり知恵と勇気で男社会に殴り込みをかけ成功を勝ち得たことに尽きる。米ニクソン大統領の退陣に関し、彼が最後に歩いた赤絨毯(じゅうたん)を衛兵が巻き取る場面を収めた1枚。「どの雑誌社も興味を示さない写真が事実を雄弁に語ることがある」
1975年、当時最も危険だった英バンド、ローリング・ストーンズの公演ツアーに周囲の猛反対を押し切って同行撮影。「女なのに音を上げず頑張った。大したヤツだ」(ギター奏者のキース・リチャーズ)。後にボーカル担当ミック・ジャガーをして「彼女は米国の肖像を撮っている」と言わしめた。そんなサクセスストーリーの“秘密”を本作は如実にあぶり出す。
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