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「もっと素晴らしい映画作る」
ベルリン国際映画祭 新人作品賞に熊坂監督 
2008/2/18 産経新聞    東京朝刊
カンヌ、ベネチアと並ぶ世界3大映画祭のベルリン。熊坂出監督の作品が最優秀新人作品賞という主要賞を久々に日本勢にもたらした。

第58回ベルリン国際映画祭で最優秀新人作品賞を受けて喜ぶ熊坂出監督=16日、ベルリン市内(ロイター)
第58回ベルリン国際映画祭で最優秀新人作品賞を受けて喜ぶ熊坂出監督=16日、ベルリン市内(ロイター)

授賞式は、無造作に束ねた長髪にはき古したジーンズ姿。「こんな格好ですみません」。スピーチで、姿をわびると、客席から爆笑が起こった。主要賞の一角に食い込むとは夢にも思っていなかった。

さいたま市出身の32歳。立教大卒。フリーでテレビ番組の演出をこなし、合間に映画を作ってきた。短編「珈琲とミルク」で平成17年の、「ぴあフィルムフェスティバル」に入選した。

10代まで「ジャッキー・チェンが好きだった。ホラー映画を毎日見ていた」と言うが、学生時代はジャズにのめり込んだ。「音楽に意味は求めない。そういう音楽のような映画を作りたい」。

「映像が美しく、脚本の感覚が新しい」「黒澤明監督の『生きる』を思い出し、泣いてしまった」…。審査員から直々に選評を聞かされた。ベルリンで日本作品として最初に主要賞を受けたのは1954(昭和29)年の黒澤監督の「生きる」(銀熊賞)だった。

「テレビをおいておいて、映画でいくことにしました」と熊坂監督。

「認めてもらったからこそ、自己批判と反省をして次の作品に進みたい。もっと素晴らしい映画を作って、ベルリンに戻ってきたいと思う」(共同)

「母べえ」は受賞逃す
【ベルリン=共同】第58回ベルリン国際映画祭の授賞式が16日夜(日本時間17日未明)、ベルリン市内であり、最優秀新人作品賞に「パーク アンド ラブホテル」(熊坂出(いづる)監督)が選ばれた。日本作品が主要賞を受賞するのは、2002年の宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」の最高賞「金熊賞」以来。

日本からコンペティション部門に出品していた山田洋次監督、吉永小百合さん主演の「母べえ」は受賞を逃した。

金熊賞は、麻薬組織と警察のせめぎ合いを描いたジョゼ・パジーリャ監督(ブラジル)の「エリート・スクワッド」。米アカデミー賞でも候補入りしている米映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(ポール・トーマス・アンダーソン監督)が監督賞と音楽賞を獲得した。

「パーク−」は、コンペ部門外のフォーラム部門に出品。都会のラブホテル屋上につくられた公園に集まる、孤独な人々の心の交流を描いた。

「(性の営みが交わされる)ラブホテルの上に公園があって、(性と一見無関係な)おじいちゃんとおばあちゃんが遊んでいたら面白い」という着想が出発点で、主人公のホテルオーナーを歌手・俳優のりりィさんが演じた。4月末から東京・渋谷で公開後、各地で上映の予定。

最優秀新人作品賞は06年に新設、出品部門を問わず優れた長編デビュー作に贈られる。

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