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初主演に役者魂全開
映画「クロサギ」俳優、山下智久に聞く
2008/2/21 産経新聞    東京朝刊 by 松本明子
現実に起こっている詐欺犯罪をリアルに描いたサスペンスコミック『クロサギ』が、一昨年のTBS系連ドラに続いて映画化された(3月8日公開)。主人公の黒崎を演じるのはテレビ版と同様、山下智久(NEWS)。映画初主演作について話を聞いた。

「詐欺師と詐欺師のだまし合い。そこには葛藤(かっとう)があり、人間ドラマとして深い要素がつまっている。最終的には信じることの幸せを味わうことができ、柔らかくあったかい気持ちにもなれる作品だと思います」

初の映画とはいえ、気負いはない。共演陣に恵まれたこともその理由の一つらしい。詐欺師業界のフィクサー役、山崎努らテレビ版のレギュラー陣をはじめ、映画版には大地真央、竹中直人ら豪華キャストが加わった。とりわけ、山崎、竹中とは対峙(たいじ)する場面が多い。

「山崎さんはいるだけでオーラがあって身が引き締まる。竹中さんは現場がパーッと明るくなる感じ。お二人から教えていただいたことはいっぱいあるけど、宝物にしたいから、言いたくない…」。山崎からは「ピー」と呼ばれ、しばしば食事にも連れていってもらうという。

素人をだまして金銭を奪う「シロサギ」。異性の心と体をもてあそぶ「アカサギ」。この2つのみを食らう詐欺師を「クロサギ」と呼ぶ。現実の社会では振り込め詐欺に続いて、最近では年金還付詐欺なども横行。映画では贈答詐欺が出てくるが、この作品に関わってから新聞報道などにも敏感になったという。

「詐欺師はだますために下準備を綿密にする。だまされないためには、知識を磨くことが必要だと思う。見抜く力も。おれの人を見る目? おれのまわりにいる友人たちは最高っすよ。いい奴ばっか。胸を張って言える」

それまでは、劇中の黒崎のような物静かな雰囲気を醸し出していたが、一瞬、表情が和らいだ。

「ヤマピー」の愛称で親しまれ、歌手としてコンサート活動も行うが、「てんびんにはかけられない。でも、おれは一つのものに時間を費やしてじっくりと作り上げる仕事が好き」と役者への比重は高い。作品ではエレベーター内の壁をつたうハードなシーンなども見ものだ。

「演技の勉強をしていない奴がいたら、それは役者じゃないと思う」。ストイックな持論を話す面持ちは、まぎれもなく役者そのものだった。

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