産経Webへ戻る SANSPO.COM ZAKZAK iZA! FBi
ENAKってどういう意味? | お知らせ | 新聞バックナンバー購入 | 問い合わせ | リンク・著作権 | MOTO | MSN産経ニュース
前作のスタッフ集結、ブランシェットの風格漂う
映画「エリザベス:ゴールデン・エイジ」鬼気迫る女王の演技
2008/2/22 産経新聞    東京朝刊 by 岡田敏一
エリザベスが25歳の若さで英女王に即位するまでを描いた英映画「エリザベス」(1998年)の続編「エリザベス:ゴールデン・エイジ」(シェカール・カプール監督、公開中)。絢爛豪華(けんらんごうか)な衣装をはじめ、当時の社会や風俗を忠実に再現した映像の迫力と、今年度のアカデミー賞の主演女優賞候補となったエリザベス1世役のケイト・ブランシェットの演技が見どころだ。

前作のスタッフが再結集した「エリザベス:ゴールデン・エイジ」

物語は1585年から始まる。イングランドを治めるエリザベス1世(ブランシェット)はプロテスタント派だが、国内ではカトリック教徒が大勢を占めており、謀略が渦巻いていた。

とりわけ、スペイン国王フェリペ2世(ジョルディ・モリャ)は、イングランドを征服し、欧州全土をカトリック教徒で占めようと画策している。また、スコットランド女王のメアリー(サマンサ・モートン)は、従姉(いとこ)のエリザベスの出生の経緯を理由に、正統な王位継承権が自分にあると主張し始める。

国内外の難題に直面するエリザベスの前に、新世界から帰還したばかりの航海士ローリー(クライヴ・オーウェン)が現れる。国にすべてをささげた彼女だったが、次第にローリーに惹かれていくのだった…。

カプール監督やブランシェットをはじめ、前作のキャスト・スタッフが集結して製作したとあって、作品の世界観などはより強固に。スペインの無敵艦隊との激しい海上戦や、自ら甲冑(かっちゅう)に身を包み、兵を率いるエリザベスのけれんみたっぷりの立ち居振る舞いは歴史娯楽大作の王道を行くものだ。

しかし、本作の根幹を成す物語は、すべてを捨てて国の偶像となったエリザベス1世が、恋愛問題で苦悩し、揺れ動く1人の女性の一面をうかがわせるところだろう。真の戦いとは外国の艦隊や陰謀ではなく、自分自身との戦いである−。この普遍的な問題を歴史絵巻に絡ませて描くあたり、前作に劣らぬものを作りたかった監督の意気込みが感じられる。鬼気迫るブランシェットの演技は威厳に満ちた女王そのものだ。

産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
2007(C)SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.

ここは記事のページです

淀川長治の銀幕旅行