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節度ある明るく美しい裸の天使
伝説的なヌード・モデル ベティ・ペイジの生涯映画化
2008/1/10 産経新聞    東京朝刊 by 岡田敏一
約7年ぶりに再結成公演ツアーを始めた英のアイドル女性グループ、スパイスガールズのステージが欧米で話題を集めたが、中でも目を引いたのが、彼女たちのファッション。とりわけ1950年代のレトロなミリタリールックはインパクト十分。露出度の極めて高い最近のダンス系女性歌手のファッションより、カッコ良くてセクシーだ。


50年代、過激な下着姿で数々の男性向け雑誌の表紙を飾った伝説的なヌード・モデルの伝記映画「ベティ・ペイジ」(監督・脚本=メアリー・ハロン、公開中)の世界にも、全く同じ感想を抱いた。節度あるセクシーさ。これが今、流行の最先端なのかも…。

厳格で保守的な家庭に育ったベティ・ペイジは、たまたま海辺で素人カメラマンのモデルを引き受けたことから、その道に。あけすけで天真爛漫(らんまん)な性格と、グラマーなスタイル、エキゾチックな黒髪で、全米の男性をとりこにする。

そんな明るさ満点の彼女の生き方を、50年代の粋なビッグ・バンド・ジャズのサウンドに乗せ、おしゃれに描く。大胆なポーズにも喜々として応じる彼女。だが、もともと熱心なキリスト教の信者だけに、自責の念がむくむくと。過激路線に走り、彼女への非難も高まってきた…。

イヤらしさは皆無。キレイであっけらかんとした姿はまるで天使のように見える。こうした絶妙なタッチはベテラン女性監督ハロンの手腕と、ベティ役のグレッチェン・モルの演技によるところが大きい。

彼女はハリウッドのオファーも蹴り、こつ然と表舞台から姿を消す。引退した彼女にファンがささやく。「恥じることはない。君の写真なんていまやおとなしいもんさ」。彼女は「恥じてなんかないわ。アダムとイブも裸だったけど、罪を犯して服を着たのよ」。

恥じらいのかけらもなくなったニッポン。本作を見れば「エロかわいい」なんて軽薄な言葉を使うのが恥ずかしくなるはずだ。

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