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豪華作品集結
ゆうばり国際映画祭復活 市民とタッグ
2008/3/16 産経新聞    東京朝刊 by 戸津井康之
財政破綻(はたん)で中止された北海道夕張市の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」が19日、2年ぶりに復活する。市の財政支援を受けず、市民が設立したNPO法人が準備を進め、2年ぶりの開催にこぎつけた。若手の登竜門というだけでなく、米国のクエンティン・タランティーノ監督ら“世界の才能”をいち早く見いだす発掘の場として。国際的知名度を誇る映画祭復活にかける地元住民、映画ファンらの期待は大きい。

開幕する19日に上映される「ハブと拳骨」のワンシーン
開幕する19日に上映される「ハブと拳骨」のワンシーン

今回、集まった予算は約4000万円。市主催時の約1億円という規模からは半分以下に縮小された。

しかし、配給会社の協力は厚く、オープニング作品の「僕の彼女はサイボーグ」を始め、クロージングにはパラマウント・ピクチャーズの大作「スパイダーウイックの謎」が決まるなど、地方都市の映画祭では異例の豪華ラインアップが組まれ、映画関係者の期待の大きさが示された。

「歴史を築いてきた映画祭を何とか継続できないか」。復活を期待する映画配給会社の支援を受け、市民有志による「応援映画祭」が開催されたのは昨年2月。予算は約1000万円だった。

その後、市民が立ち上げたNPO法人「ゆうばりファンタ」が、民間主催の映画祭開催の方法を模索。北海道内外の企業などが協賛に名乗りを上げ、復活の準備は急ピッチで進められた。

同法人の沢田直矢代表理事(同映画祭夕張事務局長)は「復活にこぎつけたことはうれしいが、気は抜けない。以前は、スタッフの半分が市職員だったが、今年からはすべてボランティア。予算も限られており、開催自体が大きな挑戦」と気を引き締める。

スカパー! 連動
今回の支援の中でも画期的なのが衛星放送「スカパー!」の取り組み。映画祭の出品作のうち主要2部門計34作品を映画祭とほぼ同時期に有料で放送する。

「映画祭の出品作を同時期に放送するのは世界でも初の試み。『夕張は遠くて駆けつけることができない』という全国の映画ファンに放送を見てもらい、夕張を応援してほしい」とスカパー!の田中晃放送本部長は期待を込める。スカパー!では視聴料金の半分を実行委員会に寄贈する。

15年前、初めて映画祭に参加したタランティーノ監督は映画祭に感激。ヒット作「キル・ビル1」で栗山千明演じる刺客役に「ゴーゴー夕張」と名前を付けた。「猟奇的な彼女」で世界のヒットメーカーの仲間入りを果たした韓国のクァク・ジェヨン監督も“ゆうばり信奉者”の一人。今回、新作「僕の彼女はサイボーグ」をオープニング上映作品として発表。ゲストとして会場に駆けつける予定だ。 

映画祭は23日まで、ゆうばり市民会館などを会場に開催される。

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ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 

竹下登内閣時代に施行された「ふるさと創生事業」の1億円を活用し、夕張市と市民が一体となって平成2年に開催。炭坑町から観光都市への脱皮を図る“夕張再生の象徴”として同18年までの17年間、開催された。コンペ部門からは犬童一心、北村龍平、山下敦弘監督ら、現在一線で活躍する錚々たる映画人を輩出した。

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