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NYに渡った織物が評判に…
映画「ナルニア」支える衣装 工房を訪ねる
2008/3/25 産経新聞    東京朝刊 by 岡田敏一
前作から約3年ぶりとなるファンタジー大作「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」(アンドリュー・アダムソン監督)が5月21日に公開される。架空の国、ナルニアで今回はどんなドラマが繰り広げられるのか。その作品世界を支える要素の一つが、登場人物のコスチュームだ。前作以来、ナルニアの衣装を担当するニュージーランドの工房を訪ねた。

織物製造・販売会社兼映画衣装工房スタンスボロー社。「ナルニア−」の世界観を衣装で見事に表現している
織物製造・販売会社兼映画衣装工房スタンスボロー社。「ナルニア−」の世界観を衣装で見事に表現している

ニュージーランドの国土の北島南端に位置するウェリントンは、政治の中心地というだけでなく、映画や演劇といったエンターテインメント産業の中心でもある。

ニュージーランド政府観光局の協力であちこち散策しながら、ウェリントンの空港から車で約30分。風光明媚(めいび)な自然を眺めるうちに、織物製造・販売会社、スタンスボロー社に到着した。

ディレクター兼デザイナー、シェリル・エルドリッジさんによると、同社は1993年の秋、牧場経営の多角化をめざして設立された。以来、約12年間にわたって品種改良を重ね、上質で銀白色の羊毛を生産する新品種「スタンスボロー・グレイシープ」を生みだし現在は、1120ヘクタールの敷地に約1200頭のスタンスボロー・グレイシープと60頭のアルパカを飼育。毛織物やショールなど製品の約80%は英、米、豪州など海外へ輸出されており、それがきっかけで映画の世界に。

「ニューヨークに渡ったうちの織物が『ロード・オブ・ザ・リング』(2001年)の衣装デザイナーの目に留まったのです」

上品な毛織物はホビット族が身に付けるマントの素材となり、映画の衣装デザイナーやファッション関係者の注目を浴びた。ナルニアでは、1作目に続き、カスピアン王子やルーシーなど5人の衣装を担当した。

工房の入り口は、1作目でナルニアへの「扉」の役目を担った衣装ダンスを模したデザインになっていた。“扉”をくぐると、「現在も問題なく使用中」(シェリルさん)という約200年前の織機が鎮座。展示販売スペースでは登場人物が身につけたマントや小道具がずらり。ちなみに次男エドマンド役を演じたスキャンダー・ケインズは、オフのときも同社のマントを愛用している。

グレイシープの起源は北欧のバイキングが暴れ回った中世にまでさかのぼるという。中世欧州風の「ナルニア−」の映像化に、同社の毛織物はなくてはならない存在なのだろう。

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