米ラスベガスで7日(日本時間8日)始まった世界最大の家電展示会「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」(CES)を舞台に、デジタル家電をめぐる2つの「対立」に変化が見えてきた。業界標準を2規格が争う次世代DVDは、ブルーレイ・ディスク(BD)規格の優位が鮮明になった。薄型テレビの「液晶テレビVS.プラズマテレビ」の構図では、プラズマが技術躍進をみせ、反転攻勢に出ている。
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次世代DVDの規格争いでソニーや松下電器産業などが推進する「ブルーレイ」陣営のブース。米映画大手の採用が拡大し、勢力を増しつつある=7日、米ラスベガス(AP) |
ブルー・デー
「今日はブルー(青)な日だが、悪くないね」。次世代DVDでBDを主導するソニーのストリンガー会長は、CESでの会見で、「浮かない気分(ブルー)」と「ブルーレイ」をかけた冗談を飛ばし、会場の笑いを誘った。
会見直前に、映画会社の米大手ワーナー・ブラザースが、BDの単独支持を表明。BDは規格争いの勝敗を左右する映画ソフトの約7割を握り、対する「HD DVD」陣営を大きく引き離した。BD側の大手メーカー幹部からは「日本での戦争はすでに終わり、残る北米の戦いも収束が近い」との声も聞こえてくる。
HDの普及促進団体はCESでの会見を急遽(きゅうきょ)中止。HD陣営の東芝は、「まだ死んだわけではない」(幹部)と平静を装う。しかし、これまでHDを単独採用してきた米映画大手パラマウント・ピクチャーズが、BD陣営に乗り換えることを検討していると一部メディアが伝えた。パラマウントが離脱すれば、HD陣営にとって大きな痛手となり、戦略の見直しを迫られるのは必至だ。
プラズマ健在
プラズマと液晶の両方式が有力な薄型テレビでは、液晶テレビが大画面化し、大型テレビに向くとされるプラズマの得意領域を侵食していた。
液晶メーカーの技術革新も著しく、昨年後半から顕著になった画面の薄型化傾向や、画面にタッチパネル機能を内蔵させるなどの進歩で大幅に先行し、プラズマの存在感が薄れていた。
しかし、今回のCESでは、プラズマテレビメーカーが相次いで新技術を導入した製品を発表。
松下電器産業は、「プラズマ技術の大きな進化を紹介したい」(坂本俊弘専務)として、厚さ2・47センチの完全平面(フルフラット)型としては「世界最薄」と、150型の「世界最大」となる試作品を公開。また日立製作所も、厚さ約3・5センチのプラズマテレビを2009年に商品化することを明らかにした。
会場では、パイオニアが開発に成功した厚さ9ミリの50型プラズマテレビも登場。プラズマの課題とみられてきた消費電力の低減や、鮮やかな画質を実現する新技術なども各社が出展し、プラズマが勢いをみせている。