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目立つのは中高年夫婦
広がる「夫婦別寝」適度な距離感人気
2008/1/11 産経新聞  東京朝刊 by 海老沢類
収納や引き戸で寝室をゆるやかに分ける「夫婦別寝(べっしん)」「夫婦別床」と呼ばれるスタイルが広がっている。互いの生活時間や体感温度の差を克服できるだけでなく、付かず離れずの「適度な距離感」を保てるのが人気の理由だ。“異床同夢”が円満の秘訣(ひけつ)とばかりに、住宅メーカーも「別寝」提案に本腰を入れ始めた。

住友林業の「マイフォレスト グランドライフ」は、クローゼットで夫婦の寝室を仕切るプランを提案した
住友林業の「マイフォレスト グランドライフ」は、クローゼットで夫婦の寝室を仕切るプランを提案した

「夫婦の寝室を分けたい」。東京ガスリモデリングの天方幸子リフォームデザイン研究所長はここ数年、こんな相談を頻繁に受けるようになった。

目立つのは子供が独立して部屋が余った中高年夫婦。生活時間のズレ▽夫のいびきや体臭▽クーラーの体感温度の違い…など事情はさまざまだが、妻から切り出すケースが大半だ。夫の定年で夫婦一緒の時間が増えてストレスがたまり「寝室くらい別にして一息入れたい」との要望もあるという。

天方さんは「問題を抱えたまま無理に一緒に寝れば、無用ないさかいを起こす。仲良く暮らす知恵として前向きに『別寝』を選択する人が増えた」と話す。

中高年向けのマーケティングを手がけるシニアコミュニケーション(東京)が平成17年に行った調査によると、別室で寝る50代以上の夫婦は39・5%。「今後別室にしたい」(14・2%)を合わせると半数を超えた。三井のリフォーム・住生活研究所が昨年11月に発表した調査でも、30〜60代の既婚者の4人に1人が「別寝」希望だった。

高まる需要に応える形で、住宅メーカーも「別寝」を盛り込んだプランを相次いで発表している。

住友林業は昨年2月、団塊世代向け平屋住宅「マイフォレスト グランドライフ」を発売。中央にウオークインクローゼットを置き、夫婦のベッドを4メートルほど離す「半別寝」プランを初めて提案した。

寝室を完全な別室にした場合、困るのは体調が急変したとき。高齢の夫婦が1階と2階に分かれて寝ていたために、異変に気づくのが遅れて命を落とす例もある。「お互いの気配を感じながらも、自分一人の時間をリラックスして過ごせる」(広報グループ)プランは、プライバシーと安全面を両立させる折衷案といえそうだ。

ベッドの間に収納を置くブライトホームの「和モダンの住まい」
ブライトホームが昨年1月から売り出している「和モダンの住まい」も寝室を収納で仕切るセパレート型を初採用。同社FC企画グループは「発売後のアンケートでは肯定派が予想以上に多かった」と手応えを語る。

同様の動きは分譲マンションにも広がっている。長谷工コーポレーションが同9月に発表した「楽(RAKU)スタイル」は、寝室を約9・2畳と広めに設定し、別寝室にも変えられるようにした。プランの一部は京都市内のマンションに採用されている。

もちろん、こうしたスタイルは寝室に十分な広さがあれば、間に家具などを置くことですぐにも変更可能だ。

夫婦別寝の広がりについて、三井のリフォーム・住生活研究所の西田恭子所長は「家庭での女性の発言力が増し、もともと抱いていた別寝願望を抵抗なく口にできるようになった」と分析。「少子化と晩婚化が進み、若い世代は一人で寝る経験が長い。適度な距離を求める傾向は今後も広がっていくのでは」と予測する。

『夫婦の家』(講談社)などの著書がある一級建築士の天野彰さんは「『別寝』が即離婚につながる欧米と違い、日本の夫婦関係は柔軟ということ。ただ、健康に不安がある高齢夫婦は、万一に備えて相手の気配が感じられるよう工夫してほしい」と念を押す。

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