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男性の目を気にせず話ができる
女性のギャンブル依存症 専用リハビリ施設誕生
2008/1/15 産経新聞  東京朝刊 by 海老沢類
生活に支障が出ても、一向にギャンブルをやめられない「ギャンブル依存症」。女性の場合、世間の厳しい目を気にするあまり、治療へと足を踏み出せないケースも多いという。そんな中、国内初という女性専用リハビリ施設が昨年誕生し、回復を手助けする活動を始めている。

体験語り合う
横浜市保土ヶ谷区のマンション。昨年4月にオープンした「ヌジュミ」は、ギャンブル依存症に苦しむ女性専用のリハビリ施設だ。現在は30〜50代の主婦ら2人が定期的に通っている。

プログラムの柱は、代表の田上啓子さん(58)を交えたミーティングだ。10畳ほどのスペースに集まり、1日約1時間半、互いの体験を語り合う。仲間の話を聞くことで参加者は次第に罪悪感を和らげ、ギャンブル依存が「病気」であることを認識していく。アルコール依存や薬物依存から立ち直る過程を追った映画を見て、回復への希望を抱くプログラムもある。

実は田上さん自身、ギャンブル依存症に苦しんだ経験がある。夫婦関係がうまくいかず、寂しさを紛らわすように、ポーカーゲーム機やパチンコ台に向かうようになったのは32歳のとき。持ち金が底を突くと、台にすがりつき、手持ちの紙に1万円と書き殴り「続けさせろ」と店員に迫った。

「勝ち負けの問題ではなく『とにかくやりたい』という状態」。消費者金融などから借金を重ね、注ぎ込んだ総額は約2000万円。症状を克服するまでに10年を要した。

情報提供の必要性を痛感した田上さんは平成13年、依存症者の体験談などを載せるサイト「雨宿り」を開設。既存のリハビリ施設が男性限定だったことから女性専用施設をつくることにしたという。田上さんは「家庭の財布を握っていた主婦が、家のお金を使い切って離婚…という例も多い。ギャンブル依存は『病気』で、治療すれば回復するということを伝えていきたい」と話す。

5年で倍増
ギャンブル依存症は、多額の借金などで家庭生活や仕事などに支障が出ているにもかかわらず、自分の意志でギャンブルがやめられない状態を指す。国内に患者数の統計はないが、欧米では人口の2〜3%にも上るといわれる。

依存症に詳しい岩崎メンタルクリニック(神奈川県藤沢市)の岩崎正人院長のもとを訪れるギャンブル依存症者は月平均約20人。症状が知られるようになったこともあり、5年前に比べ倍増した。このうち女性の割合は10%程度で、9割以上がパチンコ・パチスロへの依存だ。両親の片方が酒癖が悪かったり暴力を振るったりする「機能不全家族」に育った▽親がギャンブル好き−といった要因が絡むケースが多いという。

岩崎院長は「女性は男性以上に罪悪感を強く抱きがちで、症状があってもなかなか治療に足が向かない。男性の目を気にせずにより深いレベルの話ができる女性専用のリハビリ施設の必要性は今後高まるだろう」と話している。

「ヌジュミ」の問い合わせは田上さん(電話・ファクス045・743・5854)まで。

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