本格的な受験シーズンを迎え、縁起を担いだ“合格グッズ”が受験生の人気を集めている。「滑り止め砂」や「すべらんうどん」などのご当地ものや、「勝つ」や「受かる」に語呂を合わせた「受験応援菓子」が今年もずらり。菓子業界では、クリスマスとバレンタインの間を埋める新たな市場として、知恵の出し合いに火花を散らしている。
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路面電車のレールにまく滑り止め砂が入った「合格祈願 お守り砂」 |
ご当地もの
路面電車のレールにまく滑り止め砂を入れた「合格祈願 お守り砂」。岡山市の岡山電気軌道が“滑り止め”にあやかって企画した1000個(1個500円)限定販売の合格グッズは“御利益”を求める受験生らに大好評で、先月27日の販売開始から2週間足らずで完売した。
お守り砂は、砂を詰めた小瓶を絵馬形の袋(縦9センチ、横10センチ)で包んだもの。県内だけでなく、関東や九州方面の受験生からも数多くの注文があったほか、就職祈願で購入する人も目立ったという。
学問の神様、菅原道真をまつる大阪天満宮境内にある星合茶屋の「すべらんうどん」も人気。やや幅広の麺(めん)の中央4カ所に3センチ程度の切り込みが入っており、はしに引っかかりやすく滑らない。
もともと、体の不自由な人やお年寄りに食べやすいように考案された商品だが、「すべらん」が「合格」につながると受験生の人気を呼んだ。平天入りの「すべらん天神天うどん」が1杯300円と料金も良心的。シーズン中の多いときは、1日300杯以上、土産の乾麺も200袋程度売れるという。
新たな市場
スーパーやコンビニエンスストアでは、今年もユニークな「受験応援菓子」が特設コーナーに並んでいる。
業界関係者によると、受験応援菓子が注目されるようになったのは、ネスレコンフェクショナリー(神戸市)のチョコレート菓子「キットカット」が受験生の間でブームになってから。九州地区の方言の「きっと勝つと」が「キットカット」の響きと似ていることから人気に火がついた。今年は「満開のさくらを願って」という意味で桜風味のチョコレートにホワイトマーブルデコレーションを施した「キットカット雪見桜」、紅白まんじゅうを意識した「キットカット ラッキーリトル」などを発売している。
明治製菓(東京)は13年から、受験シーズンに合わせ、スナック菓子「カール」を「ウカール」のパッケージで発売。今年は、スティックタイプの「ウカール」にさらに縁起を担ぎ、とんかつソース味を発売中。
ロッテ(東京)も、チョコレート菓子「Toppo」の最後の「o」を「a」に変え、「Toppa」(突破)と語呂を合わせた。
過熱する菓子業界のアイデア合戦について、経済アナリストの森永卓郎氏は「合格祈願商品は、クリスマス商戦とバレンタイン商戦の端境期を埋める市場として注目を集めている」と指摘。
「通常商品のパッケージを変えただけのものが多いが、縁起物ということでたたき売りにならない。中身は同じだが1割ほど高い売り値で店頭に並ぶのも、メーカーにとって魅力」と話している。