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「主婦の友」91年の歴史に幕
女性誌 迎える曲がり角
2008/3/3 産経新聞  東京朝刊 by 中島幸恵、牛田久美
女性月刊誌「主婦の友」が、5月発売の6月号で休刊する。女性向け雑誌の栄枯盛衰のなかで、91年の歴史を刻んだ“老舗”が、ついにその看板を下ろすことに。背景を探ると、「仕事や家庭に縛られず私らしく生きる」といった意識を持ちはじめた女性に、「主婦」という言葉が敬遠されるようになった世相が見えてくる。

かつては女性誌の代表格だった「主婦の友」だが…
かつては女性誌の代表格だった「主婦の友」だが…

「良妻賢母」の時代
「社名にもなっている雑誌を休刊せざるを得ない。苦渋の決断でした」。「主婦の友」の元編集長、村田耕一さんは、そう言って唇をかむ。

同誌は大正6年に創刊。料理や裁縫、育児などに役立つ実用的な記事は、「良妻賢母」が理想の女性像とされた時代とマッチ。「結婚したら 主婦の友」というキャッチフレーズで、昭和44年には発行部数が72万部に達したこともある。だがここ数年は部数が低迷、昨年上半期の販売部数は7万5000部に。現在、同社の事業部長を務める村田さんはこう打ち明ける。

「“主婦に実用的な情報を”という創刊時からのコンセプトがあるため、誌面展開に限界があった。『主婦』という言葉が足かせになった」

雑誌は時代に生きる
女性誌の歴史をひもとくと「主婦」や「婦人」「家庭」をタイトルに冠した雑誌は少なくない。「主婦の友」(主婦之友)の創刊時、幅広く読者を獲得していたのは「婦人画報」「婦人世界」「婦人之友」「婦人公論」の4誌だった。

そのひとつで、現在も出版されている「婦人画報」は、明治38年に国木田独歩が日本初の婦人グラフ誌として創刊。当時は知性と教養、美しさを備えた日本女性を育てる役割を期待されたという。元首相の大隈重信が発刊の辞を寄せたあたりに雑誌の性格がうかがえる。

誌面刷新を重ねながら、創刊103年。高度経済成長期の主力読者は20代で、新妻の心得、新婚旅行のおしゃれなど結婚を年6回も特集したこともあったそうだ。1日発売の最新号からは「ベルファム」(美しい人)をテーマに全面リニューアル。編集長の今田(こんた)龍子さんは「雑誌は時代の中でしか生きられない。変わらないのは、年齢を重ねるほど美しく咲き続ける女性像を、読者とともに求めることです」と語る。

「主婦」に違和感
もちろん、「主婦の友」も誌面に世相を反映させてきた。平成に入って部数が10万を切り、休刊の危機に陥ったとき、編集長に抜擢(ばってき)されたのが村田さんだった。生活情報に特化して誌面を刷新。表紙も従来の女優写真をやめ、スーパーのチラシのようなイメージに。2年後には60万部にまで持ち直した。

当時の状況について、村田さんは「当時はバブル崩壊後で『お母さんが頑張らなくちゃ』というような『主婦』の再発見があった」と振り返る。だが現在は「未婚、晩婚化が進み、仕事や子供の有無にかかわらず、ひとりの女性として輝いているかどうかに重きをおく。いま読者層の中心である30歳前後の女性に、『主婦』は違和感があるようです」。

「女性自身」「微笑」の元編集長で評論家の櫻井秀勲さんは「時代が移り、家計簿をつづるような“主婦”がわずかになったということでしょう。『主婦の友』の編集部からは、のちに学研を起こしたり、集英社で『明星』を発刊したりするすばらしい人たちが出た。多くを生み出した雑誌だった」と話す。

価値観やライフスタイルの変化は続く。昨春あたりから20代後半−50代向けに高級路線を打ち出した女性誌が相次いで創刊している。そのなかに、22世紀を迎える雑誌はいくつあるだろうか。

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