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子育てママの声反映
自転車の3人乗り容認 警察庁が検討 
2008/3/5 産経新聞  東京朝刊
自転車の前後に子供を乗せる「3人乗り」について、警察庁は4日、ふらつかない安全な構造・強度の自転車であることを前提に容認する方向で検討を始めた。これまで認められていたのは、6歳未満の1人を同乗させる2人乗りまでだった。同庁は、自転車産業振興協会などの関係団体に材質や構造、価格の面から3人乗り専用自転車の普及の可能性について検討を要請した。

自転車の定員は、道路交通法に基づき都道府県公安委員会規則で、運転する大人のほかに幼児用座席に6歳未満の幼児1人の同乗が認められている。東京都などでは、さらに幼児1人を背負って運転することも認められている。定員に違反した場合は道交法違反(乗車制限違反)で2万円以下の罰金か科料の対象となる。

警察庁は昨年、自転車の通行規則などをまとめた教則の改正を決定。3人乗りを禁じ、同乗者は幼児用座席に1人と明記する方針だった

しかし、実際には多くの母親らが幼稚園の送迎や買い物などで3人乗りをするケースが多いことに加え、一昨年、日本交通管理技術協会が幼稚園児をもつ母親ら約6500人を対象に実施したアンケートでも「幼児の2人同乗までは認めるべきだ」との回答が4割に達した。このため、警察庁は少子社会の育児支援や女性の社会進出の観点からも検討。3人乗りをしても安定した構造の自転車であれば母親の前後に2人を乗せることも容認する方向で検討することになった。

泉信也国家公安委員長は「自転車の重心を下げるなどの危険防止策を取れないか業界にも検討していただきたい」と話している。

頑張る子育てママさんには朗報となる今回の警察庁の判断。一方で、自転車業界からは「安定した構造」との前提がついた新たな“ママチャリ”に「価格に跳ね返る」などの声が聞かれた。

「母親は1人を留守番させている間に家が火事になったらどうしようと不安になるもの。何かあって責められるのは母親で早速、幼稚園のほかのお母さんたちとも『良かったね』と話した」

東京都江戸川区の主婦(36)の自転車の後ろには長女(6)、前には次女(4)が乗っていた。

警察庁の方針転換を歓迎する主婦は多いようで、長女(3)を後ろに乗せ、東京メトロ西葛西駅前で買い物していた同区の主婦(33)は「2人目を考えていたので、子育てしやすい環境はうれしい」と笑顔で語った。

政府の少子化社会対策推進会議委員などを務めた大日向雅美・恵泉女学園大学大学院教授は「子育て中の親のニーズに応え、きちんと検討しようという警察庁には一定の評価をしたい。ただ安易に容認せず、安全性が担保されるようハードルを高くして検討してほしい」と話す。

警察庁は3人乗り容認の条件として「ふらつかない安全な構造・強度」の自転車を求めている。

同庁から協力を要請された社団法人「自転車協会」は「自転車は生命にかかわる商品なので、安全面が十分に検討されなければいけない」と戸惑いを隠しきれない。

3人乗りの新型“ママチャリ”については、現在販売されている前乗せタイプを基本に、後ろにも乗せられる形が考えられるが、自転車メーカー「ブリヂストンサイクル」(埼玉県)によると、重量が30キロほどになるため、乗り手の負担軽減のため、素材の軽量化が必要になる。

さらに2人乗りで小売価格は約6万円と、一般的な“ママチャリ”よりも高く、3人乗りはさらに価格が跳ね上がることも予想。「普及させるためには価格を抑えることがメーカーの課題」という。

重心を低くしてぐらつきを無くし、転倒を防ぐために後輪を二輪にする三輪車なども考えられるが、同社は「機動性が悪い上、都市部などの狭い道路には不向き」とした上で、「安全性という面では3人乗り自転車はお勧めできない。開発もそう簡単な話ではない」。

前出の主婦たちに話を聞くと「本音では新しい自転車に買い替えたくない。子育てに金がかかるので、行政が3割でも4割でも、(買い替え費用を)援助してくれると助かるのだが」と異口同音の答えが返ってきた。

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