ENAK　「ニコちゃんマーク」復活　現代にマッチ

「平和のシンボル」

「ニコちゃんマーク」復活　現代にマッチ

2008/3/10　産経新聞　東京朝刊　by　杉山みどり

１９７０年代に一世を風靡（ふうび）した「ニコちゃんマーク」が再び脚光を浴びている。イタリアの高級ブランドが２００８春夏コレクションで扱ったのをきっかけに、日本の各ブランドが独自にＴシャツやアクセサリーとして商品化。店頭に並んだとたんに売り切れる人気ぶりだ。ベトナム戦争などで厭戦（えんせん）気分が漂った７０年代に、平和のシンボルとして流行したこのマーク。「テロとの戦い」に疲れつつある今の時代背景にもマッチしている。

フリーズショップ」のＴシャツとペンダント

スマイルマーク、スマイリーフェイスとも呼ばれるニコちゃんマーク。昨年９月、イタリアで開かれた２００８春夏ミラノコレクションで、「モスキーノ・チープ＆シック」がＴシャツやスカート、ペンダントなどに取り入れ、話題になった。

その後、各ファッション誌上には、ニコちゃんＴシャツなどを身にまとったモデルたちの写真があふれた。メーカーによってニコちゃんの顔は多少デフォルメされており、「変顔ニコちゃん」がかわいいと好評。これに加え、若い女性に影響力のあるモデルでタレントの梨花さんが自身のブログで、私物のニコチャンＴシャツを披露し、人気に拍車をかけた。

「フリーズショップ」など全国２９店舗を展開するフリーズインターナショナル（東京）では、昨年末にニコちゃんＴシャツ、ペンダントを売り出したところ即完売。大阪・難波の「フリーズショップ　なんばマルイ店」には、Ｔシャツなどが再入荷したが、開店前から行列ができ、わずか３０分で完売したという。

全国で衣料品や服飾雑貨を販売する「ハニーサロン・バイ・フォピッシュ」（東京）では、１月末に東京の店舗でＴシャツを販売したところ、またたく間に完売し、追加生産を決定。現在は予約販売に切り替えたが、問い合わせが絶えないという。

各ブランドともＴシャツが８０００円前後と決して安くはない。しかし、「今のＴシャツ人気とニコちゃんマークの相乗効果でまだまだ人気は出そう」と、ハニーサロン・バイ・フォピッシュ代表の千葉雅江さん。

ニコちゃんマークは、フランスの新聞が「明るい話題を提供します」という欄のシンボルマークとして使ったことから始まったとも、アメリカの生命保険会社の社内キャンペーンで生まれたともいわれる。いずれにしても当時、泥沼化したベトナム戦争から反戦ムードが高まり、世情も不安定となる中で、スマイルマークは「ラブ＆ピース」の象徴として大流行したとされる。

当時と同じように、現代はテロや戦争の恐怖、殺伐とした事件が蔓延（まんえん）し、人々の心は疲弊している。千葉さんは「今は、みんな疲れている。だからハッピーテイストを取り入れたかったんです。以前のブームを知らない今の若い女性にも何か伝わるものがあったのでは」と話している。

TOPページ > 記事一覧 > 記事