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団塊中心に評判 若い世代の開拓も
温故知新 相次ぐ文庫復刊
2008/3/20 産経新聞  東京朝刊
品切れや絶版となっていた古典や名著の文庫が相次いで復刊している。「青春時代の感動をもう一度」という団塊世代を中心に好評といい、「復刊フェア」を行う書店も。文庫で値段が手ごろなことから、20、30代の若い新規読者も開拓。新しい解説を加えることなどで、作品の再評価にもつながっているようだ。

講談社文芸文庫の刊行総点数は約850点。毎月新刊が出るが、在庫がなくなる“品切れ”は約300点にのぼる。そこで創刊20周年記念キャンペーンとしてアンコール復刊を決定。昨年9月に読者アンケートを行い、20作品を選んだ。

第1弾として2月に刊行されたのは倉橋由美子『スミヤキストQの冒険』と西脇順三郎『ambarvalia・旅人かへらず』。11月までに遠藤周作『哀歌』など、毎月2点ずつ復刊させる。文芸文庫出版部の村松恒雄部長は「風雪に耐える作品を次世代に伝えることも出版社の大切な仕事。品切れの作品を“読みたい”という要望も多い。復刊は読者のニーズに応える作業」と話す。

新潮文庫(新潮社)は、絶版リストから毎月2点ずつ復刊させている。目指すのは“古くて新しい復刊”。ターゲットは団塊世代だ。復刊にあたって文字を大きくし、ルビも多めにして、読みやすい工夫を凝らす。作品によっては解説を新しくした。

文庫編集部の佐々木勉次長は「骨董(こっとう)品を売ってます−という感じにはしたくなかった。古い作品だが、読めば驚きもある。普遍的な魅力がある。復刊が作品の再評価につながればうれしい」と期待する。

ちくま学芸文庫(筑摩書房)も4月下旬、カール・シュミット『パルチザンの理論』などを復刊予定。読者投票で要望が多かったものだという。

書店側から復刊を呼びかける動きも。紀伊国屋書店では、店員らが店頭から消えている文庫から「もう一度売りたい本」を選び、重版を打診。7社40タイトルの復刊が実現した。「文庫復刊 読ミガエル名作」と題し、新宿本店などでフェアを開催している。

復刊された本には“難解作品”も少なくない。岩波文庫(岩波書店)は2月、黙阿弥『鼠小僧』やゴーゴリ『肖像画・馬車』など28点38冊を復刊した。手ごわそうなラインアップだが、岩波文庫編集部の塩尻親雄編集長は「昨年のカラマーゾフ・ブームのように、読者の間口も広がり、何が受けるかは未知数。100年以上も前から伝わる作品だから、今読んでも面白い。復刊で、そういう文学の魅力を伝えることができる」と話している。

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