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１１年前に文庫化 帚木蓬生著
ポップからベストセラー「閉鎖病棟」
2008/3/27 産経新聞
東京朝刊 by 桑原聡
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『閉鎖病棟』は平成６年に単行本が刊行され山本周五郎賞を受賞、９年に文庫化された。精神病院を舞台にした人間ドラマ。新潮社によると、文庫版の昨年１１月時点の発行部数は約４０万部。年平均４万部という数字は新潮文庫の中でも優等生といえる。これが急激に動き始めたのは１１月末。全国の書店から注文が相次ぎ３カ月で約１８万部を増刷、累計１００万部に達しそうな勢いという。
発火点は、東京・お茶の水の丸善お茶の水店。昨年９月下旬、売り場担当者の吉海裕一さんが「感動のあまりむせび泣きました…」という手書きのポップを付けたところ、１日に２０〜３０冊、週に１２０〜１３０冊が売れる事態となった。
「放っておいても売れる本と、ポップを付けると売れ出す本とがあります。『閉鎖病棟』はまさに後者。棚に並べるとき、１０年ほど前に読んだ感動が蘇り、仕掛けてみようと思い立ちました」と吉海さん。
同店の販売実績を知った新潮社営業部は、吉海さんのコピーを参考にポップを作成し、首都圏、次いで全国の書店に送った。増刷分には帯を付け、文庫版の解説を担当した逢坂剛の「まさに琴線に触れる小説だ」という一節を掲載した。
「丸善お茶の水店の販売実績がありますから、他の書店も『うちでも展開してみよう』という気になってくれました」
既刊本の中には、まだまだたくさんのベストセラー候補が眠っているはず。それをどう発掘していくか？ 『閉鎖病棟』はひとつのモデルケースを提示したようだ。
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