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都市生活の中でも目の紫外線対策が必要
オフィス街の紫外線反射 白内障にご用心を
2008/5/1  産経新聞東京朝刊 by 平沢裕子
これから夏に向けて、1年で最も紫外線が多くなる季節。紫外線は白内障など目の病気と関係があることが知られている。金沢医科大などの調査で、ビルや路面からの反射が多いオフィス街は、あらゆる角度から目に紫外線が入っていることが明らかになった。海や山などレジャーの場だけでなく、都市生活の中でも目の紫外線対策が必要だという。

金沢医科大とジョンソン・エンド・ジョンソンは昨年9月、都内のオフィスビル街で、目に入ってくる紫外線量を日の出から日の入りまで、マネキンを用いて計測、一昨年9月に同大の屋上で行った同様の調査と紫外線量を比較した。

その結果、太陽を背にしたときに目に入る紫外線の絶対量は金沢よりオフィス街の方が少なかったが、金沢が太陽高度に準じて紫外線量も変化するのに比べ、オフィス街は1日中ほぼ同レベルの紫外線量を浴びていることが明らかになった。特に朝の通勤時間帯である午前7〜8時と夕方の午後4〜5時は、オフィス街の方が金沢より多くの紫外線量を浴びていた。

また、オフィス街では太陽に対して正面を向いていない状態でも、正面を向いたときとほぼ同じぐらいの紫外線量を目にあびていることも分かった。

調査を担当した金沢医大の佐々木洋主任教授は「ビルの壁面や窓、アスファルトから紫外線の反射があるオフィス街では、紫外線があらゆる方向から目に入っていた。目の健康のためには、太陽の直射だけでなく、ビルの壁面や地表からの反射にも注意する必要がある」と指摘する。

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紫外線が原因となって発症する目の病気には、「紫外線角膜炎(雪目)」「白内障」「翼状片」がある。このうち、スキーヤーなどに多い雪目は、強烈な紫外線反射で角膜が傷つけられることで起こる。激しい痛みを伴うこともあり、雪目に対する予防対策として、海や山などレジャーの場でサングラスをかける人は多い。

一方、水晶体が白くにごる白内障や、白目部分が黒目にのびてくる翼状片は、慢性的に紫外線を受け続けたことが原因の一つとなっている。どちらも発症までの期間が長く、自覚症状もないため、予防のために積極的に紫外線対策をしている人は少ないのが現状だ。

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海外では紫外線による皮膚がんなどが多いこともあり、早くから紫外線対策がとられてきた。米国では1998年から、環境保護庁主導で紫外線対策を啓発するために「UV対策学校プログラム」を実施。学校で子供たちに帽子や日焼け止め、サングラスを使用するよう呼びかけている。

オーストラリアでも「Slap hat(つばの広い帽子)」「Slip clothing(肌を守る洋服)」「Slop(日焼け止めクリーム)」「Seek(日陰の利用)」「Slide(紫外線カットサングラス)」の「5つのS」をかかげ、子供向けに紫外線対策の必要性を説いている。

しかし日本では、環境省が「紫外線マニュアル」を作成しているものの、認知度はあまり高くない。

佐々木主任教授は「日本では、肌への紫外線対策はよく知られるようになったが、目に対してはまだ知らない人が多い。紫外線が蓄積される量が多ければ、それだけ白内障などを発症するリスクが高くなる。リスクを少なくするためには、弱い紫外線でも対策をとるべきで、オフィス街では帽子や日傘に加え、UVカット機能のついた眼鏡・サングラスやコンタクトなどで側方や下方からの紫外線対策をした方がいい」と話している。

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