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1月6日(月)ENAK original
ケイト・ソルムッセンさんに聞く

性誌でおもしろい造語をみつけた。「自分スタンダード」。ここ数年で若者の間に浸透した、“1点もの”を主に扱うセレクトショップの新作が並べられ、個性を尊重した、納得のいくものを身につけようと訴える内容の企画でだった。

自分スタンダード
この「自分スタンダード」。生き方に関しても自分が基本、つまり「私らしくいこう」の時代なのかもしれない。不況が長引く中、外見よりも中身の充実をはかることで生き残りをはからなくてはならない。そんな気負いもあるかもしれない。自分に似合うものや納得のいくものを探す「私が私を選ぶ」。それはファッションに限らず、資格や技術、趣味まで“身にまとう”時代のスタンダードということのようだ。

「ニューヨーク・シティ・バレエ・ワークアウト」(\3800/東芝EMI)

趣味のなかでも、バレエの基礎をエクササイズに取り入れたDVD「ニューヨーク・シティ・バレエ・ワークアウト」(\3,800/東芝EMI)が女性の間で静かな人気。300本ほどでスタートした売り上げが、2カ月で5000本に達し、このての作品としては異例の売れ方(東芝EMI)だという。


前、バレエを習っていた女性が懐かしさから購入したことで火がついたようだ。そんな隠れた“バレエ人口”の支持に加え、ここ数年、女性のあいだでフラメンコやフラワーアレンジメントが流行するなど、“できる”をひとつ増やしたい向上心なども後押しているようだ。

手軽さが魅力 バレエエクササイズ
このバレエエクササイズはバレエと違い、年齢にかかわらず、自宅でテレビを相手に取り組める気軽さ大きな魅力だ。

現在、日本でこの「ニューヨーク・シティ・バレエ・ワークアウト」公認のインストラクターの資格を持つのはまだ1人。東京・青山のバレエスタジオで指導にあたる稲垣領子さん。昨年10月からワークアウトを取りいれたクラスを神奈川・戸塚で開設した。

DVD「ニューヨーク・シティ・バレエ・ワークアウト」の監修、指導にあたった元ニューヨーク・シティ・バレエ団プリマドンナのケイト・ソルムッセン(Kate Solmssen)さん(30)にバレエエクササイズの魅力、さらには女性の美しさや向上心について話を聞いた。
日本女性はスキニー
の隆起がきれいに見え、時々おへそが見え隠れするぐらいの丈の黒いTシャツに、脚のラインにフィットした、こちらも黒のパンツルックで取材場所に現れた彼女。身長は5フィート半というから165センチはあるのだが、引き締まったボディーラインのせいか実際より小柄に見える。しかし、線が細いということではない。

日本が初めてというケイトさんを、何よりも驚かせたのは、街ですれ違う日本女性の「細さ」だという。

「驚いたわ。背は私と同じくらいだったけど、とにかくスキニー(やせ細っている)なの。とても疲れているようにも見えたわ」と出会った女性の幅を手で示しながら話す。
  性は、美しさの要素のひとつにやせていることを挙げるが、日本女性の過剰なダイエット意識に対して「筋肉を落とすやせ方は健康美を損ねます」と警告を発する。

「体重が増えるとしても筋肉を美しくきたえあげることが必要です」

「Lengthen Muscles」(筋肉を伸ばす)。彼女が何度もその言葉を使ったのが印象的だった。繊維質の筋肉をより長く伸ばすことで動きがしなやかになるだけではなく、体全体をしっかり固定できるというのだ。プリマドンナの波のような腕の動きや、華麗な身のこなしも納得がいく。

優雅だが、過酷なのもバレエだ。米国で行った統計によると、バレエはアメリカンフットボールに次ぐ運動量が求められるともいわれる。
心の豊かさもはぐくむ

バレエ・ワークアウト」は、ウオーミングアップやストレッチから、「プリエ」や「ダンデュ」、「アラベスク」などバレエの基本スタイル9種類を盛り込んだ17セクションで構成されているが、各セクションを3回ずつ繰り返すと1時間は要する。そのうえ、体の堅い初心者には負担も大きいとのこと。まず、ウオーミングアップから始め、いくつかの基本形を選んで実践すればいいと教えてくれた。

健康や美容のためのエクササイズビデオの先駆は、シンディー・クロフォードやクラウディア・シファーといったずば抜けたスタイルで世界をかっ歩するスーパーモデルたちの出演するものだった。

日本でも梅宮アンナや叶姉妹といったファッションリーダー的存在のタレントたちが出しているが、画面に向かう私たちとはスタイル、美ぼうとも違いすぎて、実践するのではなく単にながめているほうがいいような作品だった。

 

かし、「バレエ・ワークアウト」のほうは、実践することでバレエの基本が身につき、姿勢もよくなるなど達成感や実感が伴う。つまり、より実用的な点が支持される要因だろう。

「肉体を鍛えることは精神にも影響します。私はバレエ生活そのものが自尊心(self esteem)や日常を豊かにします」

本人は自己主張を好まないところがあるが、ひょっとすると「自分スタンダード」とは、彼女のいうような自尊心の芽生えを意味するのかもしれない。

ケイトさん現在、ニューヨークで男女問わず幅広い年齢層にバレエを教えているが、技術ばかりではなく精神的な豊かさや美意識の成長にも気を配る。

「バレエはフランスのものですから、教室でも(基本スタイルの)『パンセ』、『タンデュ』とフランス語の語感も大切にしながら指導しています。『Little Bend』(小さく曲げて)と英語で話しかけますが、バレエを言葉からも体感してほしいのです」

人に教える立場の人だからなのか、取材中も常に相手の目を見つめ、“聞く”姿勢で向き合う。そして、言葉ひとつひとつに責任感があり、周囲も和ませるような笑顔を絶やさなかったのが印象に残った。

text by Ryoko Kubo久保亮子


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