−−恥ずかしながらうかがいますが、チェンバロとピアノの違いってなんですか?
チェンバロは、18世紀まではとても人気があって日常的な楽器だったんですね。それが19世紀以後、廃れるんです。ピアノができたことで影を潜めることになります。両者は建機盤楽器である点は一緒です。ピアノは金具を使っていますが、チェンバロはすべてが木で作られています。
−−なるほど。
それからピアノが弦をハンマーでたたいて音を出しているのに対し、チェンバロはつめで弦をはじくのです。その結果、音量に強弱がつかない。これが一番大きな違いかもしれないですね。ピアノのようなふっとペダルはついていないんですよ。逆にいうと強弱がつかないからこそ、いかに表現するかがポイントになるわけです。
−−難しそうですね。
そこをクリアするには練習が必要ですね。「ここは大きく」「ここは小さく」と念じ、楽器と呼吸を合わせることで“表現させる”んです。
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有橋淑和(ありはし・すみな) 埼玉県生まれ。4歳から母親の手ほどきでピアノを始める。7歳で武蔵野音楽大学付属音楽教室入室。13歳で桐朋学園大学付属子供のための音楽教室入室。同教室卒業演奏会出演。桐朋学園女子高校音楽科入学。ピアノを学ぶ。日本ピアノコンクール最優秀賞、ピティナコンクール入選、日本ピアノ教育連盟ピアノオーディション入選、同オーディション特級取得。高校3年生(18歳)でチェンバロに出合う。桐朋学園大学演奏学科古楽器科チェンバロ専攻入学。同大学研究科修了。ブラビシモ
クラシカ 2001コンクール審査員特別賞。国内外のセミナー、演奏会に参加。ヤマハ、イトーキなど広告のモデルも行っている。
−−ふーむ。楽器と会話するわけですね。しかし、そもそもなぜチェンバロという楽器を弾こうと思ったのですか?
高校まではピアノを勉強していました。チェンバロに移ったのは大学(桐朋学園大学演奏学科古楽器科)に入ってからです。実は私、手が小さいのでピアノだとオクターブ(たとばドからドまで。鍵盤8つ分)以上は届かなくて、ずっと悩んでいたんです。
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