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「アンセム」 |
−−こんどの新作は通算6作目のアルバムになります。専門的なことでいえば、レコード会社をデビュー以来のビデオアーツから東芝EMIに移籍してから最初のものということに。どういう趣旨で作られたのでしょうか?
去年の6月にバンドのメンバーが全員替わりまして、5人で最初に音を出した際、「バンドのこのサウンドを大切にしよう」と思ったんです。だから、この新作はバンドサウンドにこだわって作った作品ということになります。
−−メンバー全員交代の理由は?
時期的な問題などいろいろ。とくにそれまでのアルバムは、さまざまな客演を迎えて作ってきましたが、レコード会社が変わって、「どういうことがやりたいか」と新しい会社から問われて、「バンドサウンドを大切にしたものを作りたい」と話したら「それがよい」といわれて。
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寺井尚子(てらい・なおこ) 神奈川県出身。4歳からバイオリンを学ぶ。昭和61年、ジャズのバイオリン奏者としてデビュー。本人によると「最初はホテルのラウンジなんかで弾いていた。翌62年からライブハウスに出るようになった」。平成7年、来日中のケニー・バロン(ピアノ)と共演する機会を得て、アルバムの録音参加に誘われ、米ニューヨークで録音を初めて経験する(アルバム自体は97年に発売される「シングス・アンシーン」)。10年、アルバム「シンキング・オブ・ユー」(ビデオアーツ)でデビュー。3作目「プリンセスT」(12年、同)では、米ギター奏者、リー・リトナーが制作監修及び客演。アジア各国でも発売。12年にはNHKドラマ「袖振り合うも」の音楽担当も。テレビCM出演など活動の場を広げながらも、一貫してバイオリンによるジャズを追究している。
−−従来のバンドでは、おっしゃるバンドサウンドは出せなかったんですか?
いまになってやっと音楽の方向性が明確になってきたということもありますが、バンドって5人なら5人の人間が集まって音を出すわけですから、自分の思いとは違うものになることもある。
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