−−録音自体はスムースにいったのですか?
あの…バンドサウンドで勝負するには、メンバーに緊張感がないととだめなんですよ。
−−なるほど。
メンバーの緊張感を高めるには自分が強くなっていかないとならない。毅然として自分のやっていることを信じるというか。メンバーを替えたり、以前にも増していろいろなものが変わってきて、自分がやりたいことを明確にしておかないと、私が自分を見失ってしまうと、メンバーはきっと不安になるでしょうし。
−−そういう芯の強さは以前から感じてはいましたが
私は16歳でビル・エバンス(ピアノ奏者)の「ワルツ・フォー・デビー」(1961年録音)を聴いてジャズの自由さについて自分なりにふくらませたイメージに向けて、ともかく走り続けてきたわけです。
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−−ええ。
生きる道としてこれでいいのかと悩んでいたとき、平成7年に来日していたケニー・バロン(ピアノ奏者)の録音に誘われて、ああ、信じてきてよかったんだと確信して。その後は、いろいろな出会いからたくさんのものを吸収してきて、そうしてやっと自分のバンドを得ました。
−−壁にぶつかることは?
ありますよ。だけど、こそこそ逃げ出さずに受け止めてきました。たぶん、解決は自分自身でしかできないから。
−−なるほど
最初にジャズを聴いたとき、私はジャズって自分の歌を弾けるんだと感じたんです。つまり即興演奏ですね。即興演奏とは自分の“歌”が歌えることだと。ジャズは自由だと感じたんです。
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